第8話「宙歩」

20XX年4月18日10時28分。大室屋敷。


いつもより遅めに起きるとご飯をサク姉が用意してくれていた。

師匠たちは朝稽古中だったらしくちょうど戻ってきた。


「よく眠れましたか??」

「うん。」

「それはよかったですね。」

「そういえば、朝ポストにこんなものが・・・。」


同じ形式の封筒が4つ入っており、師匠宛、孫六兄さん宛、サク姉宛、そして自分あてだった。差出人は不明だった。


「ご多忙の中失礼します。」

「この手紙がそちらに届いたころにはもう始まってしまってるかもですが、」

「ぜひあなた方にも応援願いたいことなので送らせていただきます。」

「早めに来てもらえると幸いです。」


とだけ書かれており、中には住所が書かれたものと、4人の女性が映った写真が貼られていた。その4人は全員が腕を縛られていた。


「これって、、、」

「・・・。」


三人は黙っていた。しかし、動揺をしていることが分かった。


「一番左は私の妹です。皆さんも同じ感じですか??」

「あぁ、この一番右は俺の実の姉だ。」

「その隣は私のいとこです。」

「え・・・。」

「そして、申し訳ありませんが、真ん中のお方は龍之介さんのお母様です。」


最初どういうことかが全く分からなかった。母親という事実。なぜその人が捕まってるのか。そして、なぜみんなの親戚も一緒なのか。何もかもが分からなかった。

ただ、分かったのは全員の大切な人が捕まったことだけ。


「さてと、、、私は少々腹を立ててるので龍之介さんを連れて外に出てきますが皆さんは?」

「奇遇だな。俺も少し野暮用ができた。」

「私も・・・。」


そういって僕らは、書かれた住所に向かう用意をした。

屋敷の空き地からとんでもない勢いで上に飛びながら4人で向かった。


20XX年4月18日11時50分。???。


「そろそろ、屋敷にあの郵便が届いたころだな。さぁ、お前らは助けてもらえるのかな。それとも時間切れでお前らが売られるか。」

「・・・。」

「ちょっとでもゲーム楽しもうとしてくれるとうれしいのに。」

「・・・。」

「まぁいいや。24時間後にお前らの中から一人、売られるから楽しみにしておけ。」


20XX年4月18日11時52分。上空。


「あともう少しですかね。」

「そうだな、房総半島が見えてきたし。」

「意外と近いもんだね。」


俺は久しぶりに空を飛んでいたので結構不安だったがあとは着地だけミスらなければ大丈夫だろう。

この技術のことを僕らの屋敷では「宙歩(ちゅうほ)」と呼んでいる。

これは異能というか技の一種である。


タイムリミットは後24時間。

それまでに全員の救出をしなければならない。

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