第4話「涙」

20XX年4月16日13時53分。屋敷の自分の部屋


俺は結構考えていた。だいぶ考えていた。

今後何かあったらこの二本の剣でみんなを守るためにはどんなことができるのだろうと。

今までの自分の行動を見直していこうと決めていた。


トントン(ドアをノックされる音)


「龍之介?入っていい??」

「うん?サク姉?いいよ~?」


サク姉が僕の部屋に入ってきた。


「体調はどう?大丈夫そう?」

「あぁ、うん、なんともないよ。」

「それはよかったよ。それ、もらったんだ?」

「うん。」

「よかったね。でも、あまりそれ使わないようにね。」


サク姉が言ってる意味はこの時分からなかった。


「使わなくてもいいように強くなれるように修行をしっかりするよ。」

「・・・。うん。頼もしいなぁ。私の弟は・・・。」

「うん。サク姉の弟だからね。」


「よかったよ。・・・。じゃあ、私ちょっと買い物行くけど買ってくるものある?」

「いいんやぁ、ないかな。」

「りょうかい~~い。じゃあ、行ってくるね。」

「いってらっしゃーい。」


そういってサク姉は俺の部屋を出た。そして、すぐに屋敷も出た。



20XX年4月16日14時05分。道場。


「よし、そろそろ、修業を始めましょうか。」

「はい。」


師匠と孫六兄さんが交代しながら修業をしてくれていた。

決して、勝てなかった。自分の決めたことをかなえなければ・・・。


20XX年4月16日17時10分。道場。


「よし、そろそろ終わったほうがいいんじゃないか?」

「そうですね。そろそろ終わりにしましょう。」

「まだやらせてください。」

「だが、もうボロボロだ。今日は休んで明日また続きを・・・。」

「あと1時間!1時間で1度でもいいから勝利をさせてください!」


そうだ、おれは守るって決めたんだ。強くなるって決めたんだ。

ここで、この二人に並ぶ剣士にならないといけないんだ。


「わかりました。あと1時間ですよ。」

「いいのか。こいつは・・・。」

「いいんですよ。ただし、もし、あと1時間であなたが我々に触れることができなかった場合は明日は休んでもらいます。いいですね。」

「はい!!」


そこからずっと、戦い続けた。師匠・孫六兄さんは向き合ってくれた。

だが、結局無理だった。俺は一度も触れることができなかった。


「1時間経ちました。」

「もう終わりだ。龍之介。」

「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉx!!!!!!」


自分の弱さを思い知った。まだ強くないことを・・・。



20XX年4月16日18時59分。屋敷の自分の部屋。


俺は結構考えていた。だいぶ考えていた。なぜこんな弱いのかって。

この二本の剣でみんなを守ることができるのだろうかと。


トントン(ドアをノックされる音)


「龍之介?入っていい??」

「うん」


サク姉が僕の部屋に入ってきた。


「今日頑張ってたそうだね。師匠と孫六兄さんが言ってたよ。」

「・・・。うん。勝てなかったけど。」

「勝てるわけないよ。あの二人には。」

「指一本も触れなかった。明日こそは・・・。」

「だめだよ。明日は休むんでしょ?」

「いや、鍛錬をしなければみんなを守ることはできないよ。明日頼めば・・・。」

「だめだよ!」


サク姉の方に目を向けると涙を浮かべていた。


「サク姉、、、???どこか痛いのか???」

「うん、ちょっとね、心が痛いんだ。」

「え?」

「龍之介が頑張ってることも知ってる。私たちを守ろうって思ってくれてることを知ってる。でもね、無理はしてほしくないんだ。私は。」

「でも・・・」

「私は、今まで通りの生意気で優しくてあほで笑顔が素敵な龍之介でいてほしいんだ。」

「サク姉・・・」

「ごめんね。忘れて。」


そういって、サク姉は部屋から出て行った。

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