第13話「景色」

20XX年4月17日9時22分。鎌倉・近江屋。


朝を迎えると優姫もリリスも先に起きていた。

優姫は1階で朝ご飯を食べていた。


「おはよう。よく眠っていたね。寒くなかった??」

「おはよ。寒くなかったよ。ありがとう。」

「それはよかったよ。リリスは店の方にいるよ。おじいちゃんと話してる。」

「そっか。図書館ってこっから近いんだっけ??」

「そうだねぇ。鎌倉駅の向こう側だね。」

「そうなんだ。リリスの用事が終わったら行こうか。」

「そうだね、そしたらなんか食べておけば??」

「そうする。」


リリスの用事が終わるまで、ご飯を食べて寝ていた部屋でのんびりしていた。


20XX年4月17日10時58分。鎌倉・近江屋。


「そろそろ、図書館行くか・・・。」

「こっちは準備OKだよ!リリスは??」

「もちろん準備万端だよ。」

「じゃあ、行こう。」

「そのまま、高尾に行くんじゃろ??」

「その予定です。たまに戻ってきます。」

「いつでもここで待っておるぞ・・・。」

「行こうか・・・。」

「うん・・・。」


歩き出すと優姫は止まっていた。


「どうした?優姫はいかんのか??」

「・・・。」

「優姫、外で待ってるよ。」


俺とリリスは一足先に玄関先に出た。


20XX年4月17日11時00分。鎌倉・近江屋。


「・・・。」

「どうしたんじゃ??」

「おじいちゃん、私高尾に行った方がいいかな・・・?ここにいなくてもいいかな??」

「う~~ん、それは難しい質問だな。」

「行かない方がいいなら私はここに・・・。」

「いや、行った方がいいと思うんだ。お前が見るべき景色が見えるはずなんだ。」

「見るべき景色。」

「お前の両親はとても多くの景色を見てきた。箱根だけでなく、『家族』としてだな。」

「家族」

「そうだ、二人はもっと多くの景色が見たかったはずなんだ・・・。」

「。。。」

「だからこそ、お前は両親が見たかった景色を、あやつらの無念を晴らしてほしい。」

「。。。」

「今のお前には、あの二人がおる。そして両親もいる。・・・。それにわしもおる。だから、安心してあの二人と冒険してくるといい。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・わかった。」

「無理ってなってしまったら戻ってきなさい・・・。優姫。」

「ありがとうございました・・・。行ってまいります。」


20XX年4月17日11時15分。鎌倉・近江屋の前。


「お待たせ。二人とも。」

「もういいのか??」

「うん。」

「そしたら、図書館に行こう!!!」


俺らの冒険がまた始まった。

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