第11話「雪解け」

20XX年4月16日8時43分。箱根湯本駅。


「ご主人、傷はどう??痛む?」

「うん??まぁ、痛いっちゃいたいけどまぁ大丈夫。」

「ごめんね、大和。ちょっとだけ休む??」

「ん??大丈夫だよ。鎌倉で少し休ませてくれれば。」

「わかった。」


僕たちはまずは小田原に向かった。小田原は大雪の原因解明のために取材班や学者らしき人たちが多かった。僕らはそのまま鎌倉へ向かった。


20XX年4月16日10時21分。鎌倉駅手前。


「優姫、もうすぐで鎌倉だよ・・・。」

「そうだね・・・。大丈夫かな・・・。」

「大丈夫さ。俺らが付いてる。」

「うん、ありがとう。」


20XX年4月16日10時24分。鎌倉駅。


「やっと鎌倉だ・・・。なんかいろいろありすぎてめちゃくちゃ久しぶりに来た感覚だな。」

「確かにそうだね・・・。」

「じゃあ、直接近江屋行くとするか・・・。リリスはどうする??どっかよるところあるか??」

「ああ、まぁ、近江屋で荷物おろしてからでもいいかな」

「わかった、じゃあ、近江屋へGOだな。」


近江屋へ向かい入るとおじいさんは俺の傷を見て焦って治療をしてくれた。

話そうと思ったが、ある程度休んでからにしようということで一度俺は眠った。

リリスは、荷物を置いて外出をしたらしい。



20XX年4月16日11時29分。鎌倉・近江屋。


目を覚ましたが優姫は手をつないで寝ていた。


「起きたか?小僧。」

「はい、すいません。いろいろとお世話になって・・・。」

「いやいいさ。こいつを全力で守った傷らしいしな・・・。」

「いえ・・・。」

「まったく無理しやがって・・・。あと一ミリ傷が深ければだめだったかもしれねえよ。お前さん。」

「そんなでしたか・・・。」

「まぁ、救ってもらった形でいうのもなんだがな・・・。お前さんがいなくなったらこいつを守れるやつがいなくなるから気を付けてくれや・・・。」

「申し訳ないです・・・。今後は強くなって心配させないようにします。」

「よろしく頼むよ・・・。」


「すまないが、お前さんにだけ話したいことがある。こいつが起きたら店番を頼むつもりだから来てほしい。」

「わかりました。」


それからほどなくして優姫は目を覚ました。リリスも帰ってきたので二人に店番を任して俺とおじいさんは出発前に優姫ときた場所に来た。


20XX年4月16日13時41分。鎌倉・近江屋近くの丘の上。


「雪鬼伝説の看板は見たのか??」

「みました。」

「そうか・・・。あいつもみたか??」

「はい。」

「お前さん何を感じた??」

「何とも言えなかったけど、守らないといけないと思いました。」

「なるほどな・・・。お前さんに託して本当に良かった。」

「あの伝説と墓に書かれた名前って・・・。」

「・・・。優姫の実の父親と母親じゃ。」


「あの伝説の結末では解けてしまってるがそれは違う。彼らの体は確かに凍っていたが、、手をつないだ場所は暖かい氷になっていた・・・。」

「・・・。」

「人間と妖が結ばれることはあってはならないというわしのせめてもの思いがあの立て札である。彼らが残した優姫(こども)を育て上げると決めてわしは生まれて間もない優姫の体を温め、両親(ふたり)は見つからないように溶かしたのだ・・・。」

「優姫を箱根に行かしたのって・・・。」

「もう15年になるからの・・・。「近江優五郎」「近江姫香」の夫婦に自分たちの娘を見せてあげたかった・・・。だが、わしは、もう連れていくことはできない・・・。だから、お前さんたちに行ってもらったのだ・・・。」

「そうだったんですか・・・」

「・・・。すまなかったのう・・・。おぬしにはこんな傷を与えてしまった・・・。こんな爺のわがままに・・・。」

「いや、俺は優姫が実の親たちに会えたのであれば問題ないです。」

「・・・。優姫が言っておった。『いろいろあったけど楽しかった。』ってな・・・。お前さんのことを信頼して預けてよかった。ほんとうにありがとう。」


「そろそろ、降りるとするかのう。」

「そういえば、、、店はどうするんですか??」

「・・・。それは優姫が決めることだ・・・。おぬしらについてくも、残るもすべて優姫が決めてくれるだろう。その時にわしも決めるさ。」


そういって、僕らは丘を下りた。


20XX年4月16日14時10分。鎌倉・近江屋。


「すまないな。戻ったぞ。」

「ねえおじいちゃん。今日さ、この二人泊ってもいい??」

「あぁ、いいぞ。」

「ありがとう。」

「じゃあ、遠慮なく。」


僕らは一晩近江屋で過ごした。

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