第3話「夢」

20XX年4月14日6時55分。横浜駅。


「ふわぁぁぁ…。おはよう~~~リリス。」

「まったく情けないな~~。ご主人。おはよう。」

「こんなに朝早い理由はないだろう。。。昨日は1時前に寝たし。。」

「ばかだな、主人は。相手はいつケンカを売ってくるかわからないんだ。」

「まぁ、たしかに。」

「あとは、鎌倉や小田原で観光もしたいしさ。」

「絶対そういう理由だろうと思ったよ。」


そこから電車に乗りまずは鎌倉に向かった。

鎌倉までは意外と短くてすぐ着いた感じだった。


「いやぁ、やっと着いたぁ。」

「ついてないが?」

「ん??」

「鎌倉に着いただけだぞ?」

「あとはもう少しだろ?」

「いんや??あと何倍もだぞ??」

「え???」


どうやらリリスは勘違いしてたらしい。

がっくりした感じでリリスは小町通に消えていった。

俺はリリスから頼まれとある場所に向かった。


「ここか。」


たのまれた店に行き店門をくぐった。


「いらっしゃい。」

「すいません。ここで真剣が買えると聞いたんですが・・・」

「あぁ、買えますがおじいちゃん呼んでくるので少々お待ちください。」

そう言って受付してくれた女性は店の奥に行った。

そして、すぐに奥から老人が出てきた。


「お前さんかい?リリスの見込んだ男ってのは?」

「リリスをご存じで?」

「あぁ、あやつが来た頃からこの店は繁盛した。」

「なるほど。」

「そしてお前さんが来たってことはとうとう、鬼退治がはじまるってことなんか。」

「そこまで知ってるんですね。」

「まぁな・・・」


そこからいろいろな話を聞いた。

リリスのこと。この店のこと。鬼退治のこと。雪鬼のこと。


「さぁ、話過ぎた。これをもっていくと良い。わしのご先祖様が作った大事な刀たちだ。」

「え???おじいちゃん。二本とも上げるの???」

「あぁ、わしもそんなに長くはない。見守ることはもうできない。」

「私がいるじゃん???」

「ん???お前さんもこの若男について行くがいい。」

「え???」

「え??????」

「まぁ、そういう顔をするかと思ってたわい。」

「待っておじいちゃん。どういうこと・・・??」

「わしは、もうずっと決めていたんだ。リリスと会ったときに決めていた。」

「やだよ!!おじいちゃんの店を継ぐのが私の夢なんだよ」

「ははは。」


その女性は、怒りながら泣きながら店の二階へ駆け上がっていた。


「見苦しいところを見せてしまったな。すまん。」

「いえ、、、」

「・・・」

「でもどうして、突然」

「あぁ、、、まぁ、気まぐれじゃ…。」

「気まぐれって・・・。そんなんでいいんですか??」

「あぁ、いいんだ。この店は俺で終わらせるつもりだった。」

「・・・。でも、お孫さんは??」

「あいつには、もっと世界を見てほしい。その俺のもう一つの夢が俺のせいで終わるのは馬鹿らしいだろ。」

「・・・」

「そして、、、この椿と牡丹という刀たちは俺が商売人として最後に売る刀と決めていた。」

「え???」

「どいつもこいつも聞き分けが悪いのか・・・。・・・。俺はなもう寿命なんだ。こんなおいぼれと一緒にいて何が楽しい。さっさと、馬鹿孫をさらっていけ。」


そういって、また奥に行ってしまった。

数分経ってから俺は店の二階へ上がった。

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