第2話「うどん」
20XX年4月10日20時15分。横浜本牧第3埠頭。
僕の前に現れた氷川と名乗る長身の男は何も言わずに僕のそばにいた。
ケータイや連絡手段を使わずにじっと僕のそばにいた。
「なんでずっとここにいるんですか?帰らないんですか?」
「ん?いや、ここにいたいからさ。」
「はぁ・・・」
「白虎君はさ、空を見上げたことがあるかい?」
「まぁ、ありますけど、、、え?」
「青空?それとも、夜空?」
「どちらもみたことありますよ、、、」
「おおおお、、、すごいなぁ。空って結構広いんだよ」
「さっきから何を言ってるんですか?」
「ははは、そうだよな。ごめんごめん。」
彼が何を言ってるのかこの時は全く分からなかった・・・。
また沈黙の時間がしばらく続いた。
「そうだ、、、そろそろ警察がここに来るはずだ。僕が来た頃には付近は捜索されていたからね・・・。」
「・・・」
「そこで、僕の家に来ないかい?そこなら、安全だけど?」
「・・・」
「無理して君を連れて行こうとは思ってないからゆっくり考えてくれ。ゆっくりといってもあと5分以内だけど…」
「・・・」
この人は怪しい人かもしれないけどついて行っていい人なのだろうかと悩んだ…。
警察が来た時に僕はおそらく駄目である。捕まってしまう。
考えて考えて考えた結果僕は氷川さんについていくことにした。
「いいかい、白虎君。ここから、どんなことがあっても声を発さないこと。この僕の上着を脱がないこと。そして、だれかとすれ違っても警戒心を出さないことを約束して。」
「どんなことがあっても声を発さないこと、、、上着を脱がないこと、、、だれかとすれ違っても警戒心を出さないこと、、、わかりました。」
「えらいぞ。さぁいこうか。」
倉庫から外に出ると驚くほど外は明るかった。月がこんなに明るいなんて思ったことがなかった。氷川さんは、何も言わずに歩いていた。
途中結構な数の人とすれ違ったが、なにごともなく氷川さんが止めていた車に乗った。
「あぁ、白虎君。今から僕の同僚に電話をするけど君のことは言わずにおくから、声とか出さないようにね。」
「わかりました。」
「もしも~し」
「おぉ、氷川。どうだった??」
「ん~~。特に何もなかったよ。なんか終わった感じだった。警察のほうが来ちゃってたからあまり探れずって感じだった。」
「あぁ、やはりかぁ。まぁ、仕方ないな。」
「明日出勤したら報告書とか書くから、今日は直帰するわ。」
「了解。」
「さて、白虎君。おなかはすかないかい??」
「あぁ、すいてます。。。」
「何か食べたいものはあるかい?」
「ううん・・・あったかいものが食べたいです。」
「そっか、、、うどんとか?」
「うどん食べたいです!」
「よおぉし、、、うどんをたべにいくぞぃ」
そういって、氷川さんと初めての食事はうどんとなった。
とてもおいしいうどんを食べた。
そのあと、氷川さんのアパートに着いた。
僕はアパートに着くと、すぐ眠ってしまった。
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