第30話

 トランプの道を進んでいくと、そこには石像が二体と、扉の前に仏像の巨大な頭がいた。

「この人たち……」

 王と王妃の石像の目が見開かれた。ジロリと二人に視線を送る。

「こいつらも動くのかよ」

 くまたには後ずさる。

「ごきげんよう、通してくださる?」

 シャーリーが一歩前にでてお辞儀をすると、二体の石像は目を見合わせて、ぐぐぐぐぐぐっと道を譲ってくれた。

「ありがとう」

「おお、通してくれるのか」

 と、くまたには胸をなで下ろした。

問題はここからだった。

「彼は通してくれないかもしれません」

「え?」

 仏像は目を開けた。

「なんでだよ」

「石をぶつけていたので」

「誰が」

「私が」

「なんで」

「なんとなく」

「……」

 ぐぐぐぐぐと石像が傾き二人の方に転がろうとしている。

「おいおい、嘘だろ」

「走ってーーー!」

 シャーリーがそういって走りだすや、くまたにもそれに続いた。

 石像は転がる。

 二人は走る。

 王と王妃の石像がぶつかり、倒れ、割れてしまった。

 ごろごろごろ

 石像はずっとついてくる。

 ごろごろごろ

 うおーーーーーーーーーー

 わーーーーーーーーーーー

 二人はあわあわしながら剥製の間をくぐり抜ける。

 剥製は転がる石像になぎ倒され、潰されていった。

 ごろごろごろ

「ずっと付いてきやがる!」

「ごめんなさい! ごめんなさい!」

 二人は懸命に逃げた。

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