第29話

水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、

水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、

 海水に手が引きちぎられるほど引っ張られた。

 シャーリーの手が離れそうになる。

「手が……」

「絶対に離すな!」

「は、はい!」

 波がもう一度甲板をさらう。

 船が大きくかしぐ。

 二人は更に強くしがみついていた。

「大丈夫か!?」

「なんとか」

 甲板の上にライオンの姿はなかった。

 大自然の前に百獣の王も無力であった。

「とっとと、こんな所から出るぞ」

 くまたには宙に浮いている額縁を見た。

 二人は急いで額縁に飛び込む。

 元の場所。

「ひどい目にあったぜ」

 二人はずぶ濡れである。

 くまたにの身体から水がぽたぽたと滴っていた。

 呪文を唱える。

「水よ」

 水が頭上から現れ、塩水を洗い流し、

「風よ」

 風が二人を乾かした。

「まあ」

 服が次第に乾いていく。

「ありがとう、助かりました」

「俺はまだ、綿が湿ってて身体が重いよ」

 くまたには横になって風を受けながらそう言った。

「そういえば、あなたはぬいぐるみだから、綿が入っているのよね」

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