第28話

 これ以上先には進めず、そこには大きな絵画があった。

「道がありません!」

「ちきしょう!」

 後ろを見ると歯をむき出した恐ろしい形相のライオン。

 後ずさる二人。

「グルルル」

 もう、いつ飛びかかってくるかわからなかった。

 二人はさらに後ろに下がる。

 シャーリーの踵が何かに引っかかった。

後ろに倒れる。

「あ」

 額縁だった。

「どうした!?」

 見るとシャーリーが絵の中に入り込んでいる途中だった。

 くまたにはライオンを見る。

「クソッたれ!」

 くまたには絵画の中に飛び込んだ。

 雷、強い風が吹きつける。

 激しい大粒の雨が顔にあたっていた。

 二人は嵐の海に浮かぶ船の甲板にいる。

 曇天がうねり、閃光が走る。大氣を揺るがす重い音。

「なんだよここ!」

「絵の中です!」

 ライオンも二人についてきて、甲板の上で唸りを上げていた。

 くまたにがライオンに目をやる。

 シャーリーが叫んだ。

「波が!」

 大きな津波が船を飲み込もうとしていた。

「つかまれ!」

 船が大きくかしぐ、立っていられない。

「きゃー!」

 くまたにはシャーリーを抱きとめ、二人はマストにしがみついた。

 来る。

 来る。

 波が来る。

 冷たい波が甲板をさらう。

 水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、水、泡、泡、泡、水、水、

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