第14話
唸った。
それだけだった。
ブロンドの髪、白いブラウスに茶色のスカート。それから羽根のついた大きいハットをかぶった。
「準備できました」
「では行こうか」
二人は玄関を出た。今日も太陽がでている良い天氣だった。小鳥が鳴いている。
電話ボックスに入り、出た。少し歩いて、あの喫茶店に入ると、カウンターの中にはもじゃもじゃ頭の青年がいた。
「いらっしゃいませ」
二人は席につく。
「元氣そうだね、やはり継ぐことにしたのかい」
「はい、母さんがいなくても、この場所を氣に入ってくれているお客さんが沢山いるんで」
それからすぐに珈琲とクリームソーダが出された。
出てきたクリームソーダを見て、前の主人が作ってくれた物と同じだとシャーリーは思った。
キッチンから人間の姿の熊谷が出てきて、二人に挨拶をした。
「久しぶりだな」
ポン
くまたにはぬいぐるみの姿に戻って、シャーリーの横に座った。
「ココアくれ」
と熊谷が信也にいうと、
「自分で作れよ」
と信也は返した。
「何年ぶりだろうな」
「そんな前だったかしら? ついこの間のような氣がするけど」
屋敷の敷地に瀟洒なチャペルがあった。真っ白い小さな建物で入り口をくぐると淡い色の花が壁面に敷き詰められていた。
そこで二人はお昼寝をしている。幸せそうな寝顔で、寝息を立ててくーくーとしている。
今日のドレスは白で、スカートの下の部分が夜のように深い青で、キラキラと光る星がちりばめられていた。
二人はいつも幸せそうだった。
人形は疑わなかった。
いつまでも、
いつまでも、
この日々が続いていくことを。
永遠に続くものだと思っていた。
「シャーリーや」
「なんですか?」
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