第8話 串間神社
葛城は串間神社の境内に足を踏み入れ、緊張感が漂う中で深呼吸をした。彼は周囲の静けさと神聖な雰囲気に圧倒されながらも、心の中では絶体絶命の状況を打破する方法を考えていた。
神社の主祭神である彦火火出見尊の姿を見上げ、葛城は何か神の加護を求めるように手を合わせた。「どうか、助けを…」と小さく呟いた。その瞬間、背後で不気味な気配を感じ、振り返ると、影が揺らいでいるのに気づく。
彼は警戒心を抱きつつ、神社の境内を巡りながら、状況を打開する手掛かりを探った。周囲には12柱の配祀神が鎮座しており、それぞれに由来や神徳がある。その中のどれかが、今の葛城の危機を救うかもしれない。
「冷静になれ、必ず道はある」と自分に言い聞かせ、葛城は神社の奥へと進んでいった。神の力を借りて、絶望から脱出する糸口を見つける決意を胸に秘めて。
葛城は串間神社の奥深くへ進む中で、突然の物音に振り返った。その瞬間、影が動き、ついに真犯人が姿を現した。
それは、普段は冷静沈着な同僚の藤堂だった。葛城は驚き、思わず声を上げた。「藤堂、何をしているんだ?」
藤堂は冷たい笑みを浮かべて答えた。「葛城、お前は気づかなかったのか?この事件の背後には、俺の意図があったんだ」
葛城は混乱しながらも、藤堂の言葉を飲み込んだ。「お前が?なぜそんなことを…」
「俺は、真実を探求するために、すべてを仕組んだ。お前たちが探偵ごっこをしている間に、俺は裏で動いていた」藤堂は自信に満ちた表情で続けた。
葛城はその場の静けさの中で、自分がいかに藤堂を信じていたかを思い知らされた。藤堂の目的は、自らの名声と真実を追求することだったのだ。
「でも、これは無茶だ。人を傷つけてまで何を得ようとしているんだ?」葛城は言葉を重ねた。
藤堂は一瞬ためらったが、すぐに冷たい目を向けて答えた。「真実は時に残酷だ。お前には理解できないだろうが、これは必要な犠牲だった」
葛城は彼の決意を見つめ、心に決めた。「お前を止める。これ以上の傷を生むわけにはいかない」
藤堂と葛城の間に、運命を賭けた対立が生まれた。二人の思惑が交錯する中で、果たして真実はどちらの手に握られるのか。
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