第9話 許されざる事

「おいリアン、お前この国で何か思った事なかったか?」


「思った事か………あっ!あるぞ。

 最初牧場からこの国に来るまでの間道とか整備されてい事と国民がやせ細っ

 てるのと思ったな」


「そうだな、本来国の周りの道は整備されてるはずだ。

 他の国と条約を結ぶのにあたって必要な事なのにだ、おかしいだろ?

 それと国民がやせ細ってると言ってたな、なのにこいつ(人見)はこんなに

 もデブってるのはなぜだと思う?」


 答えはすぐに分かった。

 

「新国王が好き勝手やったからだろ」


 恐らく誰かと条約とかを結ぶのが面倒に思って行動に移さない。

 毎日好きな物を好きなだけ食べてる内にこいつは太り国民は毎日、今日の食べ物を得るために必死で働いてるのに食べれるのはほんの少し。

 そんな生活をおくるとこいつ(人見)はデブり国民はやせ細っただろう。

 


 リアンの言動に人見は鼻で笑う。


「そうだ、こいつが国王になってから全て変わったんだ。

 以前まで民主主義で国民の意見を聞くいい国だったのだが、こいつは力で国

 民の恐怖を植え付け自分勝手な行政するガキだ」


「おいおい、それは言い過ぎだぜ

 俺様がいなかったらこの国は魔王軍のやつらに全滅させられてたんだぞ」


「確かにそれはそうだ、国民もそれは感謝してるだろう。

 しかしその後が問題なんだ、本来インバーターからの転生者は依頼や護衛で  

 転送し、依頼先の状況改善で行くはずがお前は状況の悪化をさせてるんだ」


 口を開けば高圧的に話をしてくるアドケルが今は真剣に話している。

 会って日が浅いリアンはアドケルの姿に少し尊敬できる部分を見つけた。


「・・・ッチうぜー、電話越しで文句いってるビビり野郎が説教してんじゃ

 ねぇーよ」


「ハーヒャヒャヒャヒャ!核心つかれて怒りやがった。

 まぁそうだな、声しか分からない私に文句言われてもムカつくよな。

 でも大丈夫だ、私の代わりにここに突っ立てるうちの新人がお前を正く構成

 してくれるから」

 

 おいおい勘弁してくれよ、いきなり話を俺に振るなよ。

 今の言葉でめちゃくちゃ人見に睨まれてるよ。

 怖いわ!俺殺されるんじゃねぇーの?

 まっまぁ、俺が?本気?出したら一瞬だけどね。

 一様ね、一様そんな事しないけど、別にビビってねぇーからな。


「お前が相手してくれるのか?」


「あぁ、このリアン・ロヴァイルが相手をしてやる!」


「よく言ったぞリアン!」


 いや、だってここで「無理、怖いから嫌です!」なんて言ったら電話越しで殺されそうだし、インバーターにある俺の本体がどうされるか分かった事じゃないし、これもうパワハラだよね?


「じゃ私は他の仕事があるから後は頼んだぞ、じゃぁな」


 アドケルは忙しいのか電話を切ろうとした。

 正確には切ったと勘違いしていた。

 なぜそれが分かったかと言うとアドケルとクルラの会話が聞こえたからだ。



「はぁーーーー終わった終わった、上司らしい事久々にしたなー」


 あれ?

 これ電話切り忘れてね?


「アドケル先輩!まーたすぐに漫画を読んじゃって、いい加減私の仕事手伝っ

 てくださいよ、凄い量あるんですよ!」


「クルラそんな偉い事を私に言うのは、私よりクラスが高くなってから言え」


 さっき仕事と言ってたよね?

 何?漫画読んでるだって?あのくそ


「あの事伝えたんですか?」


「あの事?」


「はぁー、何の為に電話してたんですか

 先輩のミスで係長クラスの仕事をリアン君に与えちゃったって事ですよ」


 係長クラスの仕事?

 ん?

 俺まだ入社して1日目だよね?

 アドケルのミス?

 はてどうゆう事かな?


 話を聞くにつれイライラが溜ミまって来た。


「言う訳ないだろ、てか言えねぇし

 ミ、ミスした訳でもないし………まっまぁ少しな、ほんの少し高いクラスの

 仕事お願いしっちゃったのはあるけど、まぁどうにかなるだろ」


「私は知らないですからね、死んじゃっても」


「ハーヒャヒャヒャヒャ!後は祈るだけだな、祈ってもどうにかなる相手では

 なさそうだがな」


「先輩!」


 これ以上話を聞きたくなかった為リアンは無言で電話を切る。

 この時にはリアンがアドケルに思った尊敬という概念は完全に無くなった。



――プルン


 電話の切れた音でアドケルは電話が切れてなかった事に気づく。


「あっ……やば」


 アドケルは冷や汗をかいた。


「どうしたんですか先輩?」


「・・リアンとの電話切るの忘れてた」


「はぁーーーーーーーー、もう私は知りませんホント」 

 

 

 アドケルの言葉は人見にも聞こえており、同情の目をされた。

 なんだろう、この気持ち……

 それにしても俺は死ぬくらいやばい仕事をやるみたいだ。

 殺されるとしたら恐らく人見の魔法でだろう。

 魔王軍を一人で退治するくらいの強さに俺はどうすればいいんだ?


「まぁ気の毒な話だが、俺をイラつかせたのはお前の上司だがそいつの言葉だ

 と、お前が俺様を正してくれるんだよな?なんならお前自身もそんな事言っ

 てたもんな?」


 断崖絶壁の中さらに追い打ちをかけられる。

 これも全部アドケルのせいだ。 

 あいつが変な事言ったばかりに俺が迷惑になる。


 人見はアンパンのような手でパキパキと音を奏でる。

 どこからか首か分からない、本当にあるかも怪しいがグルグル回し準備体操を始めた。

 顔は肉まんみたいなブサイクだがどこからか余裕を感じる。

 見た目は変わっても転生者ではある事には変わらない、強さは健在だ。



 どうする?

 どうやったらこいつを正せる?

 喧嘩じゃ勝てるはずないし、魔法とかスキル的なの使えないからな…………

 ん?

 あれ俺『捕食者』って臨時スキルあったわ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る