第6話 56530

「おぉ、お前がインバーターの手のものか?」

「いかにも!俺様は人見優輝だ。さぁ何に困っている俺様が手を貸してやろう」


 インバーターから送られてきた人物は人見優輝。

 年齢は20歳。

 身長は高く180cmを超え、爽やか細マッチョ、イケメンマッシュだ。

 黙ってればモテそうな感じなのだが性格が俺様気質タイプで少しイタイプ。

 

 国王は人見の性格に若干戸惑いや若い小僧に国の運命を任せていいのか?と思っていた。

 ベテランな人が来ると思っていた為不安を感じていた。

 

(こんな若造に我が国の運命を任せてよいのか……そっそうじゃこの男の実力

 を見させてもらえばいいのか!)

 

 国王は名案を思い付き人見に話す。 


「おい、お前の実力を見たい。

 簡単でいいからお前の実力を我に見せろ!」

「あぁ、いいぜ!」


 二つ返事で承諾すると、なぜか部屋のベランダに出た。

 周りをキョロキョロし何かを探し始めた。

 そして一人宙に浮いている魔王軍を見つけボソッと「見つけた」と呟いた。

 人見は魔王軍の方角に腕を伸ばし手を開く。

 すると手の平の中心に魔力を溜め、大きさが拳程になると魔力を魔王軍の方角に放った。

 

 魔力とはこの異世界に存在する『スキル』という魔法のような神秘的な力の際に消費するエネルギーを指す。

 簡単に言うと人間が永遠には走れない、それは体力が底を尽きるからだ。

 『スキル』も同じように魔力を切らせば発動することはできないみたいな事

だ。

 この『スキル』というのは生まれながらの才能で色々変わる。

 火や水や瞬足や怪力など人で様々だ。

 だが一つ例外がある。

 それは今回のような別の世界つまり異世界に転生したものは、才能でさえも霞む程の『スキル』を得ることが出来る。

 つまり今回やって来た人見の実力は—――――


—―ダーーン!!!


 人見が放った魔力の塊は命中した。

 威力は絶大だった。

 100m程離れていた敵に当たった魔力の塊の熱量をヒリヒリ肌に感じる。

 まさに強さは転生者そのものだ。

 国王は想定してた強さを遥かに上回っており口が塞がらなかった。


「まぁこんなもんだろ」 

「お、おぉぉなんて強さだ、これならあやつら(魔王軍)を一掃できるぞ!」


 人見の強さに何も言う事も無い。

 逆に強すぎて相手側に少し同情するほどにだ。

 今すぐ頼もうと思ったが国王は何かひっかかっていた。

 何がひっかかってるのは分からない、だが何か嫌な予感を感じる。

 しかしこんな事を考えている一分一秒の間にオンバの国民が泣き、叫び、亡くなる人がいる中そんなごちゃごちゃ考えていられなかった。

 

「お前にオンバを救ってほしい。

 魔王軍の連中に国民達がみたこの悲劇をみさせてやってはくれないか」

「あぁ、俺様に任せろ!一瞬で終わらせてやるよ」


 人見は国王からの頼みを受け部屋を退出し外に向かった。

 外に出ると敵がわんさかいた。

 

「お前ら(魔王軍)俺様を楽しませろよ」


 そこから人見VS魔王軍の戦いが始まった。

 戦いは激しくいたる場所で爆発が起きていた。

 だがそんな事が時間が経つにつれ収まり30分もしない内に静かになった。

 戦いが終わったのだ。

 爆発音が聞こえなくなったのを城から戦いを見ていた国王も気づいていた。

 

「なんだ?さっきまでの爆発音が聞こえなくなったぞ。

 まさかあやつ(人見)殺されたのか?」


 国王は人見が死んだと思った。

 いくら転生者とはいえ魔王軍の大群が相手だ。

 数は恐らく100人はくだらない。

 そんな中1人で突っ込んでいて無事には済まないと思っていた。

 国王に不安がともる中部屋のドアが勢いよく開いた。


—ドーン!


「誰が殺されたってーーー!?」


 ドアを開けたのは人見だった。

 なぜか外の光も相まって登場がかっこよく見える。

 国王は人見が殺されたものだと勝手に思っていたので驚きが隠せなかった。

 

「おおぉ!お前生きていたのか!」

「当たり前だ、俺様があいつらに負ける訳ないだろ?」


 人見は顔はドヤ!凄いだろ!の雰囲気を出していた。 

 

「敵は命令通り殺して来ましたよ」

「流石だ、高い金を払うだけはあるな」


 今自分で言った言葉である事を国王は思い出した。

 それはインバーターに連絡した時の事、

「護衛だ、今すぐ護衛が欲しい!」

「承知しました。しかし今すぐとなるとお金の方が多少跳ね上がってしまうの

 ですがよろしいですか?」

「いくらでも払う、今すぐよこせ」

「承知しました。そちらに転生者を一人転送させます。

 請求書はそちらに流させてもらいますね、またのご利用お待ちしておりす」


 「お金の方が多少跳ね上がってしまう」と言われた言葉。

 国王は焦り電話の方を見る、するとインバーターから送られてきたであろう請求書があった。

 その請求書を手に取り金額を見た。

 

「なんと………ありえん!なんだこの金額は!」


 請求書に書いてあった金額は1億Gと記載されていた。

 金額に納得のいかない国王はインバーターに連絡をかけた。


「お電話ありがとうございます!

 こちら56530番インバーターサポートセンター、アインです。

 依頼ですか?護衛ですか?」

「どちらでもない、さっきここで依頼で転生者をお願いしたのだが、請求書

 を見たらいっ…いち…1億Gと書いてあったぞ!

 何かの間違いじゃないのか?」

「えーーと確認してまいります。しょしょうお待ちください」


 ここから予想外の方向へ進むのであった。

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