第5話 真実
「違うぞ、ただのえ~と……しがない農家だ」
いきなり「貴族ですか?」と聞かれてとっさに農家と言ってしまった!
でもなんで貴族だと思われてんだ?
「も、申し訳ございません、とんだ勘違いをしてしまいました。
お部屋ですね全部屋空いていますので好きな部屋に泊まって行ってくださ
い」
「あぁどうも」
色々手続きをし部屋に向かった。
リアンは数ある空いている部屋の中一番端の部屋を選んだ。
特に意味はないが端っこが好きなだけだった。
部屋に入ると机とベットがぽつんと置いてあった。
「おっ!」
リアンはなぜかにやついた。
泊まりに来た時一番最初にやる伝統行事を思い出したからだ。
それはベットにジャンピングダイブをする事だ!
「いーーーーやっほーー!!!」
リアンは勢いよくベットに向かって走り出し飛んだ。
―――ガンッ!!
ベットは非常に堅かった。
弾みもせずただ大きい音と強い衝撃だけを感じた。
それはそれはとても―――
「いってぇーー!」
とても痛かった。
ちょっと目から水が垂れてきた。
決して涙じゃないぞ、俺は泣かない子、元気な子なんだからな!
その夜俺は堅いベットと共に一夜を過ごした。
翌朝なぜか肩腰がゴリゴリに凝っていた。
理由は分かってるけどね、ベットがあんなに堅かったら凝るに決まってる。
しかし疲れていたのかぐっすり眠れた。
腰肩はゴリゴリだったけどな。
「んー、腰肩ゴリゴリだな。でも良く寝たぁ~、
それにしても……」
――グゥ!~~
リアンのお腹から爆音の音が奏でられた。
昨日から何も食べていない為もの凄くお腹を減っていた。
「腹へったなーーー、
あっ!宿なんだし朝食くらい用意されてるんじゃね?」
そう思いリアンは部屋を飛び出し一階にある食堂に向かった。
向かってる最中ご飯の事を考えるとよだれが垂れてきた。
「え~朝食なにかな~、みそ汁、納豆、焼き魚、目玉焼き、海苔の最強朝食セ
ットだったらいいな~あはは考えるだけで腹がへってくる」
食堂に着くといい匂いがした。
お腹をそそるようないい匂いだ。
よだれも次々に出てくる。
「おはようございます!朝食って出来てますか!もう昨日から食べてなくっ
て腹が減っちゃって減っちゃって」
「あぁ!リアンさんおはようございます。
えぇ朝食を用意していますよ、ぜひお食べになってください」
テーブルにつき手を合わせる。
「いっただきまーす!」
リアンは箸を持ちご飯を食べようとする。
するとその時ある事にリアンは気づいた。
あれ?
見間違えかな?
ご飯の量がおかしいよな?
量がおかしかった、多いのではなく滅茶苦茶少ないのだ。
全ての料理の一品が一口程しか用意されていなかった。
「あのーすみません。ご飯の量がおかしいんですけど
この量口に全部いれてもお腹満たされないのだが……」
リアンの言葉に食堂のおばさんが下に俯く。
なにかいけない事を聞いてしまったのか。
食堂内には沈黙が流れた。
といっても俺とおばさんの2人しかいないけど。
「すまないね、今この国は食料不足に陥っているんだよ」
「食料不足?」
「えぇ…3年前まではこの国【オンバ】は緑豊かで他の国との交友関係も良く
今みたいに食料不足なんて無かったのですが、ある日魔王軍の大群がこの国
を襲いました。その際国王はある所に連絡をしあっという間に魔王軍の連中
を倒す事ができました……しかしそこからもっと苦しい日をおくるようにな
りました。」
~3年前~
オンバは魔王軍の大群に責められていた。
国は攻撃により火の海となりその光景に泣く人や家族を亡くし絶望している人などが多くいた。
その光景を見たオンバの国王オンバ・リーズフィムが魔王軍に泣きながら叫んだ。
「我々がお前ら(魔王軍)に何をした!お前の領土に踏み入れたか?
お前らの仲間に手を出したか?なぜだなぜ!言え!言え!言えーーー!」
国王の言葉に1人の魔王軍の兵士が反応した。
「あぁ?んなの理由なんてねぇーよ。ただの暇つぶし、たまーに玩具で遊び
たくなる事あるだろ、それと同じだ。それ以下でもそれ以上でもない」
「なっ!そんな事でこの国を襲ったというのか」
「はーっはは!いい気味だぜ」
「っく……何か、何かあやつらを倒す方法は無いのか…………ハッ!」
国王は何かを思い出し城の中に急いで戻った。
戻るやいなや引き出しの中を開け何かを探し始めた。
「どこだ?どこだ?確かここらへんに置いといたと思ったのだが」
そして大量の物の中から探し物を見つけ出す事が出来た。
探し物はあるA4用紙の一枚のチラシだった。
大きくインバーターと書いてある。
見つけるやいなや電話機に向かいある所に電話を始める国王。
「お電話ありがとうございます!
こちら56530番インバーターサポートセンター、アインです。
依頼ですか?護衛ですか?」
「依頼だ、今すぐ転生者が欲しい!」
「承知しました。しかし今すぐとなるとお金の方が多少跳ね上がってしまうの
ですがよろしいですか?」
「いくらでも払う、今すぐよこせ」
「承知しました。そちらに転生者を一人転送させます。
請求書はそちらに流させてもらいますね、またのご利用お待ちしておりま
す。」
電話が終わるとインバーターが手配させた転生者が送られてきた。
これが最悪を悪化させる事はまだ誰も知らない。
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