第3話 初仕事

「おい、早速だがお前の初仕事だ」

「えっもう仕事なんですか!最初の新入社員の説明会とかないんですか?」

「んなもんあるわけないだろ、だが私がこの【インバーター】の仕事内容をざ

 っと話すからよく無い脳みそをフル活用して聞けよ」


 凄い暴言だ。

 少し頭にきたが、一旦話を聞こう。


「広告でも見たと思うがこの【インバーター】は転生した人や異世界で困って

 る事をの管理をするのが主な仕事内容だ」


 転生。

 インバーターでは別の異世界で亡くなった人を異世界に送るというシステムがある。

 転生者というものだ。

 とゆうのも神様と協力してるとかなんやら。

 全員が全員に異世界に送るという訳ではないが、亡くなった人の中から才能がある人だけが異世界に送られる。

 それというのもこの世にある無数の異世界では魔王や魔物が存在する。

 魔王、魔物討伐の為その才能がある人物に討ち取ってもらいその世界を平和にする為だ。

まぁ例外も多々あるけどな。

 自然環境問題とかがそこに含まれる。

 その際に異世界に転生させる時、特別報酬として神様からスキルという物をもらう。

 スキルと言うのは超能力のような魔法のようなだ。

 しかし中には仕事をせずスキルを使って異世界を満喫してる人物もいる。

 その為に【インバーター】という職業がある。

 転生者に魔王や魔物の討伐、異世界の秩序を正すように促す。

 それでも反抗するものには力づくで半強制にやらせるのだがほとんどがこの例にあたる。

 

 リアンは女から大まかな仕事内容を聞いた。

 


「分かったか?」

「えっ…ん?じゃぁ神様と協力して仕事をしてるんですかここは?」

「あぁそうだ」

 

 女は平然な顔をして返事をする。

 それに控えリアンは先ほどの話で驚きを隠せなかった。

 普通は驚くはずだ。

 神様と協力して仕事をしているなんて聞いたら普通は驚く。

 

 えっえ意味分からないけど。

 神様と一緒に仕事してるって何?

 意味分からないけど……まぁちょっと怪しいけど給料高いから深い詮索はよしとこう。


「まぁとりあえず何事もやってからだ、早速だが仕事に行くぞ」

「えっ!もう!?」

「あぁ、とりあえずベットに仰向けになれ」

「えええええ!」


 お、俺今女性にベット誘われているよね。

 つまり、そうだよね?

 そうゆう事だったんだもんね。

 仕事ってそうゆう事かよ~なんだよ早く言えよ~。

 さっきまでのは照れ隠しだったのか。

 やっぱり俺の良さが分かる奴は分かるんだなー。


 リアンは気持ち悪い顔をしながらベットに向かう。

 女はリアンの表情を見て引いていた。

 

「仰向けになったら枕の横にあるヘルムギアを装着しろ」

「ヘルムギア?」


 リアンは枕の横を見る。

 そこにはヘルムギアらしい物が置いてあった。

 形はフルフェイスに似たヘルメットだ。

 リアンは言われるがままに頭にヘルムギアを装着した。

 それと同時に女はパソコンで操作を始めた。


「じゃぁ初仕事頑張れよ」 

 

 女はEnterのボタンを打つ。

 するとリアンの視界がまっ白に包まれた。


「えっえ!?目の前が白くなって―――」



 

 《身体と魂の移動・・・完了しました》


 なんだ。これ?

 脳内に直接だれかの声が聞こえる。


《制限時間72時間以内に帰還、失敗の場合身体と魂の容量オーバーで破損の

 為死にます》


 えっおい!まてまて、今死ぬって聞こえたけど……


《対抗策として臨時スキル『捕食者』を習得》

 

 次はスキルってもう訳が分からない。

 捕食者ってなんだよ。

 

《では気おつけて》



 目を覚ますと、雲一つとない快晴な空だった。

 先ほどまでいた場所ではなかったのだ。

 

「ここはどこだ?」


 周囲を見渡すリアン。

 そこには一面に牛と豚が何百匹といた。

 リアンはすぐ自分がどうゆう場所にいるかが分かった。


「えっここ牧場じゃね?」


 するとリアンの視界の端に電話のコールマークが現れた。

 マークを集中して見ると視界に大きく表示された。



――プルプルプルプル 


 電話先 アドケル



 電話のコール音と共に出たのはアドケルという人から電話がかかってきた。

 なんだこれ?ゲームみたいだな。


「アドケルって誰だよ……まぁとりあえず出てみるか」


 許可と拒否のボタンの許可の方を集中して見る。

 すると電話に出ることが出来た。


「もしもし……」

「どうだ!初仕事は順調か?」

「えっその声って……」 


 リアンはその声に聞き覚えがあった。

 俺をこの世界にいきなり連れてきたあの女だ。


「ハーヒャヒャヒャヒャ!その感じ今てんやわんやなんだろ」

「ギク!!」


 アドケルには俺の現況はバレていた。

 それもそうだろう。

 バレるに決まっている。

 いきなり変な場所に連れていかれたら何をすればいいか分からないだろう。

 気づいたら牧場にいるんだぞ!

てかこっちの世界に来たばっかだし。

 てんやわんやになるに決まってるだろ!


「これからお前に今回の仕事内容を説明するよく聞いとけ」

「あぁ」

「今回の仕事は転生者の調教だ」

「調教ですか・・・えーとここいる牛とか豚の?」

「違う、以前転生したマルン=ディスティニーの調教だ。

 こいつが転生することになったのは国民の飢餓が増えているのを抑制そして 

 土地の改良化の為だったのだがな…。

 そいつは仕事もせず転生時に自動的に貰えるスキルで力を手に入れてしまい

 満足のいく生活をしてるカスだ」



 転生者にはそれぞれ仕事を課せられる。

 魔王や魔物の討伐、環境問題や人口減少問題の解決など沢山ある。

 今回だと飢餓問題の解決だ。

 しっかり仕事をこなしてくれる人もいるのだが、稀に今回の仕事内容にもあるように何もしない人もいる。

 先ほどアドケルが言ってたスキルというのも、転生する際に自動的に貰えるスキルがある。本来仕事のサポートとして渡しているのだが、それを悪用して自分の好き勝手をする人がいる。

 そのようなカス人間を調教したり、お手伝いするのが主に仕事内容だ。

 

「そのマルンなんとかを働かせるようにすればいいんだな?」

「そうだ、リアンお前も臨時スキルを貰っただろ?」


 先ほどリアンの脳内に直接聞こえたあの声を思い出す。

 その際貰った臨時スキル『捕食者』これが今回リアンの事をサポートをしてくれる。


「確か『捕食者』ってやつだったと思うな」

「ほーーう『捕食者』だったか」


 なぜかアドケルは嬉しそうな声だった。

 リアンはアドケルの声音で何となく嫌な予感はした。

 恐らく今回貰った臨時スキル『捕食者』はハズレなんだろう。

 なぜそう思ったかというとあの女の事だ嬉しくなるのなんて絶対悪いのに決まってる。性格が歪んでるんだもんあの人。

 そんなアドケルの表情は不敵な笑みを浮かべていた。

 リアンは電話越しで当然アドケルの表情を見ることはできないが、こんな表情してるんだろうなと想像していた。


「えっなにか悪いスキルなのかこれは?」

「まぁすぐに分かる、これら以外で何か質問あるか?」

「・・・あっある!」


 リアンが質問したいこと、それは…

 《制限時間72時間以内に帰還、失敗の場合身体と魂の容量オーバーで破損の為死にます》の言葉だ。

 時間制限以内に帰還しないと死にますと言われた。

 こんな怖い事はない。

 初仕事で死ぬかもしれないってなに?


「なんだ?言ってみろ」

「こっちの世界に来るときに制限時間内に帰還しないと死ぬみたいなの聞いた

 んだがこれってなんだ?」

「あーーー……気にしなくっていい

 それじゃ私も他の仕事があるからな、また何かあれば電話をかけろ」


 なぜか質問の答えははぐらかされた。

 そしてアドケルはそのままの流れで電話を切ろうとしている。

 しかし逃がす訳にはいかない!

 こちとら知らない間に命かけられているんだからな!

 リアンはアドケルが逃げないように話そうとした瞬間


「あっ!ちょっと」



――プルン


 電話を切られてしまった。

 リアンは先ほどの内容だけは聞きたいと思い視界端にあったコールマークを見て再度アドケルに連絡をした。

 


――プルプルプルプル只今電波の悪いと事にいるか通話拒否をされています。

  お時間少し経ってから電話をしろや!


 口がいきなり悪くなった電話。

 まるでアドケルのように悪くなっていた。電話した人の性格が写ってるのだろうか、言い方すら似ていた。

 それにしても俺……こっからどうすればいいの?

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