第2話 合否

女は俺に近づき肩を組んできた。

 それはまぁ恥ずかしかった。

 他の人にこんな状況を見られたら仲良く見られてしまう。

 はたまたこんな女とカップルなんて思われてしまうかもしれん。

 まぁそれはそれでちょっといい気するけど……

 てか、もう周りの人から見られていた。

 もう遅かった。

 しかしまだ問題点がある。

 俺は女性に耐性が皆無だ。

 年齢=彼女なし、童〇おまけにこんな性格ときた。

 もう特急呪物ものの俺。

 そんな俺に性格はあれだが、顔がいい女が俺とくっついている。

 あれだぞ、くっついてるってやらしい意味じゃないからな!

 ちょっと興奮して鼻息が荒くなってるくらいだ。フン!

 変な想像なんてしていないぞ。フンフン!

 別にちょっといいなーなんて思っていないからな!フンフンフン!

 


「……お前鼻息荒くってきもいな」

「フンフンフン、別にフンんなフンフン事ないフンらな」


 なぜか女は俺をゴミを見るような目をしてきた。

 瞬間俺の体全身に電流が走る。

 以前戦ったライトニングドラゴンの雷を食らった時くらいビリとね。

 なぜこの現象が起きたのかは分からない。

 少し前まで女を嫌いだった気持ちが浄化され始めた。

 かわいく見えたからだ。

 そして俺を見下す視線。

 またこれもいいと思ったのは内緒フンだ。



「まぁおおよそデータ通りだな。

 ギリギリの及第点か……使えるやつだといいんだが」

 

 女は手に持っている分厚い資料を見ていた。

 悩んだり、悩んだり、かなり悩んだりした。

 そして何か納得したように軽く頷く。

 

「おいリアン・ロヴァイル合格だ」

「合格?」

 

 はて?俺は何に合格したんだ?

 それになんで俺の名前を知っている?

 もしかして………。

 この俺様を彼氏にするのを採点していたのか!?

 あの分厚い資料俺の情報が書いてあって、

 いい所を書いた資料とかだったりして!

 

 男は中二病あるあるの妄想を膨らませていた。


「合格って…それになんで俺の名前を知ってるだ?」

「あぁそうだったな。まだお前らは何もしらないんだったな」


 今女はお前らと言った。

 お前ら、このらは複数の時に使う言葉だ。

 リアンは自分1人だと思っていた。

 しかし、それは女の言葉により崩れてしまった。 


 お前ら、お前ら…だと……

 このハイスペック男子

 あっ間違えた。

 ハイスペック堕天使の俺を差し置いて、

 他の男もいるとはけせん!

 俺が一番いい男に決まってるだろ!


 リアンはガツンと女に言ってやろうと思う。

 男なら俺一人で十分だ!

 他の男なんて気にするのなんてやめろ!

 とクサイセリフを言いたかったが、女性経験が少ないリアンは何も言えなかった。

 チキンなのだ。

 コケコッコーなのだ。


「リアン・ロヴァイル……長いな、

 リアンお前この前HowTubeの広告に出た【インバーター】の求人を応募

 しただろう」


 なぜ俺が【インバーター】に応募した事を女が知ってるのが気になったが

それは一旦ツッコまなかった。


「したぜ」

「だから知ってるんだよ」

「・・・」


 何を言ってるんだこの女は。

 語彙力が無さすぎる。

 なにが「だから知ってるんだよ」だ。

 その「だから」の部分を俺は聞きたいんだよ!


「えっと意味が分からないのだが」

「お前ーバカなんだな、ハーヒャヒャヒャヒャ!」

「・・・」


 女の笑い方はリアンと相性が合わなかった。

 悪気はない笑い方だと思うのだが、腹が立つ。

 

「はーー笑った笑った。

 それじゃバカにでも分かるように説明するからよく話を聞けよ」

「バカって………はい…」

「お前は応募したから私の方にデータが入った、分かったか?」


 リアンの頭上に?が出た。

 理解が不能だった。


 ダメだ、こいつ。

 分かりやすく説明すると言っときながら同じ事を繰り返しやがった。


 女はリアンの顔を見る。

 ポカーンとし頭に?が出ているのを見てため息をついた。 

 『なぜ今の説明で理解ができない』と言ってる感じにリアンは感じた。

 

「お前に説明するのも時間の無駄だな」

「えっえ!?」


 女はリアンを担いだ。

 それも軽々と。

 女の細い腕で165cm、50㎏の俺をだ。

 ん?

 今あんたチビって思ったね。

 笑ってるねその心笑ってるね。


「HA☆NA☆SE!」

「うるせーな、黙っておとなしくしてろ」

 

 その時リアンの鼻に優しく甘いいい匂いがした。

 リアンは気づく、匂いの正体に。

 今俺を担いでいる女の髪の匂いと!

 こんな状況リアンが普通の状態でいれるはずがない。

 

 さて、ここで問題です。

 リアンの反応はどれでしょう。

 1,顔が赤くなる 2,瞳孔が開く 3,鼻息が荒くなる


 正解は全部でした。

 すみません。

 きもいですね。


「フンフンフン、わかったフンフン静かにフンます」

「お前本当鼻息荒くってきもいな」


 なぜかその言葉に体中に電流が走った。


 ♢



「リアン!着いたぞ」

「フンフン、えっ何処にフン?」


 リアンは女の髪の匂いをフンフンしてて気づかなかった。

 フンフンしながら辺りを見回す。

 


 見知らぬ部屋にいた。

 広さは12畳くらいありそうだ。

 部屋にはパソコンとベット、本棚とごく普通の内装だ。

 

「どこだここは?」

「ここは【インバーター】の事務所だぞ」

「……【インバーター】って………あれ?…んん!!」


 リアンは【インバーター】という言葉を聞き、ハッとする。

 それは先ほど女が言っていた言葉。

 「お前は応募したから私の方にデータが入った、分かったか?」

 この言葉の意味が分かったのだ。


「もしかしてー【インバーター】で働いてる方ですか?」


 リアンはなぜか敬語になっていた。


「あぁさっきからも言ってるだろう。

 ようやく分かったのかこのバカ、ハーヒャヒャヒャ!」


 あぁまずい、この女が俺の、俺の、俺の上司になるのか?

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