第1話 この扉は、どこかに繋がっていたりするのかな…。

 突然現れた扉。何を起こすのか分からないので、

扉を見ながらゆっくり立ち上がると、扉の方を向いた。


鈴を鳴らしたのは誰なんだろう。

誰がこの扉を置いて行ったんだろう(だって、一瞬のうちにだったから)…。

そう思って、周りを見渡した。誰もいなかった。


強いていえば扉が現れた、というより丈夫などこでもドアが現れたというかんじだ。要は、開けられるようになっているということだ。


突っ立ったままじっと見ていたけれど、なんにも起きなかったので、

かばんをその辺に置いて、かさねは扉を調べてみることにした。


扉の前に立って、上から下まで観察したり、横から見てみたり、

掴んで揺らしてみたり裏っかわに立ってみたりした。


こげ茶で、木でできていて、年季がはいっている。結構分厚くて重そう。

取っ手は見たところは金属。かすんだ金色だけど、

所々メッキがはがれて銀色のところがある。


扉の模様も特に特徴がなく、なんていうか、四角になっている。

不思議なのは、古そうなのに日に焼けていないことと、

今、一瞬で設置されたにしては頑丈に設置されていることだ。

(揺らしてみたけど、動かなかった。)


この世界にも、魔法とか、魔術とかが存在していて、

何者かが何かしらの理由で扉をつくったんだろうか。


だとしたら、この扉はどこかに繫がっていたりするのかな…。

そう思いながらおそるおそる取っ手を握ってみた。


回してみると、すべりは意外となめらかで、使われ慣れているようだった。

扉を前に押してみると、小さな音でぎぎぎといった。


—重の予想(想像)は当たっていたようだ。

扉の向こうに見えているのは、空き地ではなかった。


見えていたのは、重の知らない玄関だった。結構広めだ。


靴を脱ぐところには段差があって、靴箱があって、

その上にカギや水槽すいそうが置けるスペースがある。


真ん中が半透明になっている横にがらがらってする感じの扉があるけど、

しまっていて奥は見えない。奥はきっと廊下だろう。


靴を脱ぐところには、何足か靴がある。誰かが住んでいるのだろうか。


まずい。怒られるかも。この扉を造ったりした人かもしれないし。

下手したら自分の胃が学校の扉に繋げられてしまうかもしれない。怖い。

そう思って、取っ手を握った。でも、すぐ離した。学校が嫌だったからだ。


あんまりよくないことっていうのは分かってるけど、学校なんて

少し行かなくったっていろいろと変わらないだろう。


…まったく、いつも自分勝手だなぁ。重はそう思って、低い声で笑った。

「はは。は…。はっは。」


ヒト(とか)がいるかもしれないけど、この家(やらなんやら)の中を

調べてみることにした。法を犯すことにならなきゃいいんだけど。


「お邪魔します。」

小さな声でそう言って、足だけで靴を脱いだ。


後ろを気にしながらも、一応靴は揃えておく。

上がっちゃった。重は緊張しながら安心して、

とりあえず玄関を調べてみることにした。


あの扉も、どこかに繋がっているのかもしれないし。

そう思って横に動かすタイプの扉をじっと見ていると、

右目の目尻にきらりと光るものを見つけた。

光った方を向くと水槽が飾ってあった。確かにさっきから水の音がしていた。


水面が何だかちょうどいい感じの大きさの四角い水槽だ。

近づいて覗き込んでみると…何もいない。


水を循環じゅんかんさせるやつが回っていて、なんか岩があって、

しっかり水草まで生やされているのに。


しばらく水槽を見ていると、廊下の方からペタペタと足音が聞こえた。

びっくりして振り向くと、あっちも重の音にびっくりしたのか、

足音が止まった。と、思ったら、足音が早くなった。


どうやらこっちに向かって早歩きしているようだった。

わぁぁっ!?

探検してみようと思ったものの、やっぱり怖い。

焦って何をしたらいいのか分からなくなりながらも、

その辺に置いておいたかばんをつかんだ。


廊下の扉の方をちらっと見ると、半透明のところからヒトの影がみえた。

がらっ。扉があけられる音がした。

ばれた。



第二話へ続く        


結構頑張って書きました。

アドバイスや評価、お願いします。    ◆2号◆

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