第5話 つかみたいナニカ


遠い野辺の明かりに

いくつかのいのちの

始まりと終わりが見える


きのうは駆けだしていただろうか

いつもみたいに 死んでたのかな

わたしは


もう ここにあるものは

鍋の底にこびりつき救いだせない

もう じぶんとはいえないものだ


つかみたいものがあるだろうと

言い聞かされて

動物という言葉にだまされて


動かなきゃ 生きていかなきゃ


……って


一度も 一度も


自分さえ見たことないのに


何をつかめというの


ここにあるものは

こねあげた答えを

記号を積みかさねて

3 D にしたものばかりだ


だから ほんとうは ここには


いのちは置かれていない


そうでしょう?


うそは    やめて



いのちに問いたい


あなたは ほんとうに いのちなの?


目覚めることをゆるされてない

いのちなんでしょう?


それは きっと 自分に出会ってないから

自分を 愛したことがないから


ほんとうに自分に会えた喜びを知らないまま

ここに落とされているから


出会って 見つめて 気づいて

放したくないじゃない


あなたが


放されたくない と願う

そんな あなたに出会って



そうしたら わたしは

あなたを


もういちど いのちを 受けとめて

生まれかわるから


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