第4話 透明なカラダ
わたしという透明なカラダを
通り抜けてゆくモノがどれほどあるか
カウントしてみようと思って
3月30日になったばかりで
風が検温を拒否してる朝に
Da Da ぴろいガラスの前に
立ってみたのさ
わたしのカラダは
ガラスには映りにくい
からだの部分部分が全体を好きじゃないから
いつも観察されるのを嫌がってる
じゃあ鏡はどうかって?鏡はダメだ
そんなこたぁ 有史以来分かってる
鏡男爵は光だけを映して
血も汗も涙も映さない
そして知った風な顔で
わたしの心だけを映しやがる
鏡が好き放題するのは
自分の嘘にはまりたい奴がいるからだよ
さあ 立ってごらん
うす汚れたガラスの前に
……って
だれがだれに言ってんだい
こんな朝に
わたしのカラダに
触れてこようとするモノ
通り抜けてくれるモノ
そんな思いは
そんな言葉は
だれも発してないね
この広い世界で
ここだけが
見事に抜け落ちているのさ
知ってるよ わけを
わたしがどこまでも
透明に受けとめようとするから
答えのない問いを
だれも投げかけてはくれないのさ
もういいよ
うす汚れたガラスに罪はない
ズルズル持ってきてよかった
右手の
9ポンドハンマー
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