第10話





「おはようございます。朝です。生無人島です」


 今日の予定はこちら。


「ででんっ」


 粘土質の土を回収。

 水とか砂とか草の繊維とかいろいろまぜて、土器にできそうな土作り。

 簡単な土器を作って、乾かす。


 土器を焼くまでにしっかり乾かしておかないと割れの原因になるので、ここまでは早めに終わらせておきたい。


「それでは、いってきます」





 はい、到着です。

 そりゃ、徒歩数十歩か百数歩程度の場所なので、すぐ到着ですね。


 いつもツタを回収している場所。

 砂浜側から、陸側に少し上がったところで、ツタを回収していたところ、土が見える地面がぽっかりと出てきていた。


 とは言え、崖とまではいわないものの少し段差があるので、また石段でも積み上げるかな?

 個人的に地味に、石を積むの嫌いじゃない説が出てきてるので。

 ホントに、じみーな作業だけど、結構無心でやれるのでいつまでもできる気が。



 さて、それよりも土を掘り掘り。



 美味い具合に、粘土が掘れたらいいのだけど。

 昨日の夜に作った木製のスコップ。




 それを使って、掘り掘り掘り掘り。




 かなり固い地面かと思ったら、意外に柔らかい。

 ツタがびっしりと生えている土地は、イメージ的に栄養吸われて土が固くなるような気がするのだけど、本来なら厄介植物であるツタ系植物。

 でも今の無人島生活的には、ロープを作るための素材になるので、ちょっとありがたい所。

 ………実際は巻き付いた木などを枯らし、結果土をも枯らす激やば植物。


 こうやって、掘り掘りしてると根切りが出来るのか、サクサクと土が掘れる。

 スコップがまたまたスキルのおかげで、強化されたとか?

 土はさっくさくに掘れるし。



「ありがたいねぇ」



 ざっしゅりと、スコップを土に突き立てて。



 ぱんぱんぺこり。



 今日も感謝の二拍一礼。

 そして、掘り掘り。



 ―――感謝の掘り掘り。



 本来なら、ツタの根っこがびっしりと蔓延ってるはずが、スキル強化の増し増しスコップでざっくざっくと根切り出来て。



 ―――感謝の掘り掘り。



 たぶん、土中に埋まっているめっちゃごろごろある石、小石、砂利の類も簡単に砕けてるような気がします。

 この島で今使っているスコップ以外を使ったことないので、比較はできないですが普通に考えて、こんなサクサクいけるはずないですよね?


 実際の経験として、親の畑仕事手伝っているとき、こんなさくさく行けた時ないのですが、まぁ、ステが上がったので、単純に体力が上がって苦に思わなくなった説も否定は出来ないので何とも。

 でも、急ごしらえの、流木製の強度よわよわの鋤で耐えきれるとは思わないので、やっぱりスキル様のおかげかなぁ。


 そんなわけで、もう一回感謝の、にはくs



「ごはっ―――」

























 わき腹辺りにドンっと、不意に大きな衝撃を受け、よろりとよろけ尻もちをつかされる。



「痛っ…」



 って、程でもない?

 衝撃は確かに大きく、押し倒された感じはする。


 ―――押し倒されたっ!?

 急いで、起き上がり周りを確認。


 感謝の礼を捧げようとして、柏手かしわでを叩くためにスコップを土に刺そうと思った瞬間に、わきから衝撃が―――。



 やばいやばいやばいっ。



 今まで認識できるレベルの動物に遭わなかったために、一切気にしていなかったが―――




 ―――そうだっ。


 ここは、突然転移させられた?よくわからない無人島。


 いろいろと、スキルだとか、ステアップだとか、個人的にはプラスの現象が起きてるのは間違いないことだけど、根本的に、わけのわからないときに、わけのわからない状況が始まった。


 そんなわけのわからない島で、敵対する生物がいないとも限らないし、いないわけがないよねっ!?


 急いで体勢を立て直し、周りをなんども確認。



「きゅぅー」



 少し離れた先に、



「…」



「きゅう?」



 ―――あ、うさぎさんかわいいなぁ。



 ちょっと小首をかしげて、こちらをうかがうその姿が愛らしい。



「えぇと、ふわもこな毛並みが可愛いですよね」



 ふわふわな毛皮にぼふっと顔をうずめたい気がします。




「…きゅ」




 そして、ちょっと吸いたい。




「…つぶらなおめめもとってもラブリィー」




「…きゅー?」




「おまけに頭にどーんと尖っている角がまたラブリ…ぃ?」






「…キューッ!」






「のあーーーっ!?」














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