第11話 話合い
風呂も上がり食事の用意ができたのでエミリアと食事を摂る。
「こ、これは?」
「焼き魚と生姜焼き。」
「く、食えるのか?」
「あぁ・・・そっか、食文化の違いか・・・」
アイラがすぐに順応したから抜かったな。
「食えんのなら別になんか作るか?」
「い、いえ。いただきます。その・・・フォークとナイフは?」
「箸使えんのか、いやそりゃそうか。はい、フォークとナイフ。」
「なんか飲むか?」
麦茶とか飲んだことないから抵抗あるだろうし・・・
「葡萄酒をいただけるか?」
「あるはあるけど、何歳?」
「16だが・・・」
「じゃあダメだよ。20までダメなんだよこの国では。」
「そうなのか。」
「何か別のもの・・・なんでもいいなら水出してやろうか?」
「む? 水は普通にあるが、それよりも便利なものが?」
「まぁな。飲めないものとかあるか?」
「いや、大丈夫だ。」
「ほいよ。」
コップに氷を数個入れて水を入れてやる。
「ほれ、これでどうだ?」
「・・・これはなんだ? いや、水なのはわかるのだが・・・」
「氷だよ。冷やした水ってとこか?」
「氷? それはなんだ? いや、水はわかるが・・・」
「まぁ、飲みなよ。」
「・・・うむ。」
恐る恐る口をつけて飲む。
「っ!・・・うまいな。これはなんだ?」
「水。」
「なるほど・・・これはいいものだ・・・」
「そりゃよかった。」
生姜焼きのほうも好評みたいで良かった。ってか良く食うなコイツ・・・4合米炊いたのに一人で3合食いおった。
「ふぅ・・・うまかった。」
「そりゃ良かったよ。」
「・・・その、なんだ。」
「?」
「この礼はいずれする。」
「いや、気にすんなよ。」
「そうもいかんだろう? 私は命を救ってもらったのだぞ?」
「良いよ別に。ドロップアイテムもらったし。」
あ、そうだ。
「なぁ?」
「なんだ?」
質問しようとしたときにちょうどアイラが入ってきた。
「あ、お帰りな・・・」
フリーズしちゃった。
「吸血鬼の姫・・・何故ここに!?」
「落ち着けよ。・・・ってかなんでそこまで吸血鬼を敵視する?」
「吸血鬼は人間を攫い血を吸いつくして殺すと伝わっている。」
あぁ・・・プロパガンダか。
「実際は普通の食事で生きていけるし、血を飲むのは魔力の回復促進と欠損の修復時だけ少量で足りるのにね。」
「そう・・・なのか?」
「どーせアレだろ。吸血鬼に敵対しだしたの今の王女になってからだろ。扇動と侵略のためのプロパガンダだろう。」
「そんな・・・吸血鬼はこの世界に害をなそうとしているとばかり・・・」
信じてた正義が実際には侵略のための方便で知りもせず侵略してたんだから落ち込みもするだろ。
「で、話し戻すけど。レベルいくつ?アイラも。」
俺のレベルは今28。結構な数のダンジョンクリアしたし、Bランクもクリアしたからなぁ。
「私は38だ。」
エミリアのレベル高くない?いや、まあ聖騎士であること鑑みたら相当なものだろう。
「あ、私ちょっと下がっちゃって・・・」
「うん、大丈夫。」
「72・・・」
「12?」
「72です!」
「・・・・・・・!?」
「!?」
俺もエミリアも固まっちゃった。
「あ、あれ?」
「いや・・・すまん。そんなにレベル高かったのか。」
「私の住んでたところ強いモンスター多かったから・・・」
「なるほどな。」
うん・・・やっぱ優香のそばにいてもらおう。ダンジョンに潜り始めるとレベルのおかげで無双できるだろうけど目立つ。目立つと素性を調べられる。素性を調べられると異界からきたのがバレるかもしれん。それは避けたい。
食器を洗い終え寝支度をする。
「えっと、お休みなさい。」
「あぁ、おやすみ。」
翌日、プレイヤーは学校を休んでいいことになったから休んだ。
「どこに行くのだ?」
「プレイヤー協会だよ。エミリアの処遇とか色々決めないと。戸籍もねぇし。」
エミリアも着替えさせて協会に向かう。
「やっほ~エミたん。修斗くん。」
「石動・・・なんで?」
「協会行くんでしょ?一緒に行こ。」
「え? あぁ・・・まあ、いいけど。」
協会に着いて受付のお姉さんに、エミリアについて説明する。
「なるほどね・・・」
「そういうことなら・・・」
そういってどこかに電話をかけ始めた。
応接室に通されてしばらく待つ。
エミリアは横で応接室の備え付けの菓子をぼりぼり食ってる。
「これは美味しいな!」
「そうだね。」
大型犬みたい。
「お待たせしました。もう少しで村瀬さんが到着します。」
「あ、はい。」
「ふふっ、追加のお菓子持ってきますね。」
「いや、あの・・・ありがとうございます。」
優しい人だな。うん。いい人だ。
追加で持ってきてもらったお菓子をエミリアと食ってると村瀬さんがきた。
「お待たせしました。」
「あ、お久しぶりっす・・・」
「お久しぶりですね!」
挨拶もそこそこに本題に入る。
エミリアのレベルについて、戸籍がないこと。学校に通うこと。などを説明する。
「わかりました。では手続きをしますので少しお待ちください。」
しばらく待つと村瀬さんが戻ってきた。
「はい、これで大丈夫ですよ!それと・・・その方、お名前は?」
「・・・エミリアです!」
いい笑顔だ。うん、お菓子一回置こうか。
「そうなんですね!私は村瀬と言います!」
「設定を詰めておきましょう。」
イギリス出身で年齢は16歳。俺の学校の転校生で、石動と同じクラス。名前はそのままエミリア・ディルウィンで行く。イギリスのプレイヤーだけど、日本に来てダンジョン攻略していたところで俺と石動と知り合った。俺の家に留学に来ているって感じ。学校側には村瀬さんが通してくれるらしい。
「では、お疲れさまでした。」
「あ、あとこれ異界の武器らしいです。」
「なるほど・・・少し預かってもいいですか?色々と調べてみたいです。」
これの如何によってまた進展がありそうだな。
「エミリアそれでいいか?」
「ん?あぁ問題ない。」
「では、失礼します。」
そういって村瀬さんは応接室を後にした。
ある日ダンジョンが現れた世界 ~レベルアップで成り上がる~ 高峰悠華 @Haruka_
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ある日ダンジョンが現れた世界 ~レベルアップで成り上がる~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます