第10話 二人目の少女
「ねぇ、なんか落ちてる!」
石動がそう声をかけ黒い布を持ってきた。
『ドロップSSRアイテム:隠者の外套を入手しました。』
そっか、EXボス倒したから、ドロップアイテムあるのか。
「二枚あるよ。」
「じゃあ一枚づつだな。」
「はい、これ。」
取り敢えず着用してみる。
『隠者の外套は装備している間、敵に認識されることはありません。しかし、武器を持つ、あるいはスキルを使用する意図を示した場合はその効果が切れ敵に認識されます。敵に見つかっている状態では効果は使用できません。一度視線を遮る必要があります。』
「奇襲にはもってこいだな。」
「これなら安全に攻略できるね。」
注意点はネックだけど・・・
次のダンジョンは・・・
「Dランクダンジョンだって。」
「よし、行こうか。」
これで三つ目。加速度的にダンジョンの数が減っていってるな。
外套を装備し、ダンジョンに入る。
うん、気づかれてないな。
アレはなんだ?コボルトか?
デカいのがいるなアレが群れのリーダーか・・・
気づかれる前に斬弾で仕留める。
「よし、これで・・・ん?」
コボルトが何か落としたな・・・あ、魔石か?しかも2つも。
『レベルが上昇しました。』
Lv26→28
「やったね!」
「おう、そうだな。」
最後のダンジョンはCランクのダンジョン。ここはボス部屋しかないタイプだな。
中に入ってみると・・・ゾンビの群れとオークの群れがいるな。そして感知系のスキルがなくてもわかるデケェ気配・・・
「なんかヤバイ気配しない?」
「うん、慎重に行こう。」
雑魚は簡単に狩れたけど・・・先客がいるのか戦闘の音が響いてくる。
「一旦外套を着て様子を見に行こう。」
二人で外套を着て奥に進む。
そこにいたのは金の鎧、金の剣そして金の盾に身を包んだ金髪の騎士がいた。あ、離れたところにヘルムが落ちてる。
ほんでモンスターは・・・あれはなんだ?ワイバーン?
空を・・・いや、ダンジョン内だから空じゃないけど。
「卑怯だぞ!!降りてこい!!」
飛び道具無い系か・・・
デカい剣を見る限り脳筋か?
騎士の挑発にワイバーンは答えない。
騎士が空を飛んでいるワイバーンに対して剣を振るう。
ヒュン!
空を飛ぶ相手に剣を振っても当たるはずもなく・・・
「くっそぉ!!降りてこい!!」
騎士は何度も剣を振るが当たらない。
「斬弾!5連!!」
完全に騎士に意識が向いて死角になった時に斬撃を飛ばし片翼を切り落とすこれでもう飛べまい。
「何者だ!!」
「それよりそいつに止め刺そうや。」
「それもそうだな。でぇい!!」
デカい剣を振り下ろして首を刎ねる。とんでもねぇな・・・
その剣を俺に向けて話しかけてくる。
「貴様は何者だ。」
【ちょっと変われ。】
まあいいけど・・・
イザクに変わり出方を見る。
「よぉ。金ピカババアの犬っころ。」
「貴様!女王様を侮辱するか!!」
「侮辱?まさか、何もしてない姫様の城に強襲しかけて惨敗した雑魚集団には適当だろ。」
なんかあったのかこいつら。
「それは貴様らが・・・!!まて、何故そんなことを知っている。」
「俺はイザク。姫様の護衛筆頭だ。」
「あの時の怪物か!!」
「あぁ?俺を知ってやがんのか?あぁ・・・」
ジーっと騎士の顔を見て腑に落ちたような顔をする。
「あの時小便まき散らしてたガキか。」
「なっ!まき散らしてなどいない!!すこし漏らしただけだ。」
黙ってればいいことを・・・こいつアホの子か?
「まあいいや、向こうに帰る方法知ってるか?」
「そんなのこのダンジョンから出れば・・・」
「気づいてねぇのか?ここは異界だぞ。この服装見て気付かねぇのか?」
「あっ。」
「気づいてなかったのか?」
「そ、そうなのか?ならば早く元の世界に・・・」
「無理だ。」
「・・・なんでだ?」
「出来たらもうやってる。俺たちをここに飛ばした奴に聞くしかねぇだろ。」
「そ、そうか・・・」
「まあ、なんだ。俺は帰る方法を探すのを手伝う。」
「本当か!?」
「あぁ。だが、条件がある。」
「な、なんだ?」
「その鎧か装備寄越せ。」
騎士が着ている金ぴかの鎧を指差す。
「これは王直属の聖騎士に受け継がれる由緒正しき・・・」
「あ?んなもん関係ねぇんだよ。寄越せや!」
前から思ってたけどイザク結構口悪いな。
「くっ・・・わかった・・・」
騎士は渋々鎧を脱ぎ俺に差し出す。うっわめっちゃ蒸れてる。黒いピチピチのインナーがこう・・・
「よし、交渉成立だな。んじゃ変わるぞ。」
【えっちょっ!】
急に変わられた。
「えぇっと・・・じゃあ名前聞いていい?」
「私はネルゲア王国聖騎士団第3遊撃部隊所属のエミリア・ディルウィンです。」
「俺は草間修斗。さっきのは俺の中で共生してるイザク。で、こっちで隠れてるのが。」
「石動流美だよ。よろしくね!」
年が近い女の子だからか少しテンション上がってるな。
「あ、あぁ・・・よろしく頼む。」
「で、やるべきことは先ず二つ。協会側に話を通す。そんで戸籍を作って取り敢えずこっちの人間として生きる。」
「あ、あぁ。」
「話を通すには何か対価があったほうがいい。この鎧は取り敢えず返す。目のやり場に困るし。」
「ふん!」
「ゔっ!」
石動に横腹を肘で突かれる。なんで…?
それはまあ置いといて。
「なにか装備の一部とかない?」
「これなら・・・」
「これは・・・短剣?」
「あぁ、騎士団で渡される基本装備の一つだ。」
「じゃあこれを持ち込もうか。」
その後、設定を詰めてダンジョンを出た。
「あ、通知来てんじゃん。」
石動が画面を見て言う。
「なんて?」
「ダンジョンの発生数が通常速度以下に落ちて、ダンジョンの数もだいぶ減ったから緊急クエスト終了だって。」
「おーよかった。じゃあ一旦家帰って明日協会行くか。」
現在時刻は19時40分空腹がヤバイ。
「エミたんはどうするの?」
「エミたん!?」
「あー・・・じゃあ家来るか。部屋余ってるし、晩飯結構作り置きしてあるし。」
「では、世話になるとしよう。」
家に帰り、石動が鞄を回収しついでにシャワーを浴びていった。
「シャワーありがとね!じゃあね!」
そういって帰っていった。送ろうかと考えたけどスキル的にも問題はないだろう。
「よし、おーい!優香!風呂頼む!」
「またぁ?」
「明日アイス買ってくるから。」
「はいはい・・・」
今のうちに米炊いて置こう・・・
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