第7話 先
協会に情報提供をしてから数日、村瀬さんから電話がかかってきた。
「あ、もしもし草間君?戸籍の用意できたから。名前、性別、年齢教えて。」
「苗字は草間、名前はアイラ。カタカナでアイラです。性別は女性。年齢は11歳です。」
少し大きいけど妹と同じ年齢にしておいて隣に居ても違和感ないようにしておこう。設定は遠い親戚のハーフの子供。村瀬さん曰く俺の血縁を調べてほぼ他人レベルの老夫婦に少し多めにお金を払って根回ししたそうな。詳しい方法は知らんけど。
「了解。じゃあ近くの学校にも根回しはしておくから手続きしといてね。」
「はい、ありがとうございました。」
「ああ、それと君の口座に1千万振り込んでおいたから。贈与税は気にしなくていいよ。それ含め先に手を打ってあるから。」
この人怖い・・・ここまで来たらもう怖いよ。
「ありがとうございました。」
「なに、異界の情報を知れたんだ。このくらい安いもんだよ。ではこの辺で失礼するよ。」
「はい、ありがとうございました。」
通話を終えスマホをベッドの上に投げる。その後すぐにメールの音がする。クソがタイミング悪すぎるだろ。
「あ~・・・来週から学校かぁ。」
めんどくさいなぁ・・・他には学校のプレイヤーを紹介するために全校集会か。学校に特に届けてないしまあ呼ばれんだろ。それと来客があるから午前中で終わると。
来週っつっても今日は土曜日。すこぶるめんどくさい。
「あの・・・」
部屋の扉があけられアイラが覗いている。
「どうした?」
「優香ちゃんがご飯まだかって・・・」
「あぁ、もうそんな時間か。米炊いてあるからあと30分くらいで出来るって言っておいて。」
「はい、ところで晩御飯は何かって・・・」
「あいつそれくらい自分で聞きに来いよ・・・」
「あはは・・・」
「鶏肉あるから唐揚げにするって言っておいて。」
「からあげ?」
「あぁ、食ったことないのか。すぐできるから、これ食って待ってて。」
そういって飴を二つ渡す。菓子食われて晩飯食われないよりましだ。
「はい!」
飴を手にしてにこにこしてるアイラ。見ため相応で可愛いところがある。
元々下味をつけてあった鶏肉を唐揚げにする。キャベツを盛って完成。
「お、唐揚げだ。」
「手洗え。」
「はいはーい。」
全員で食卓に着き食事を始めた。食事中に「あちゅ」って言ってたのは可愛かった。笑ったら膨れてたけど。随分馴染んだみたいで良かった。
風呂に入って床に着く。
あっという間に月曜になってた。ハァ・・・気が重い。
「よぉ!一般人。」
出たよ。なんで俺に絡むんだよこいつら。
「自分がまるで一般人じゃないみたいじゃん。」
いつものように言い返す。いつもならここで殴ってくる。意味わからんよな。喧嘩腰で馬鹿にされてるから言い返してるのに勝手に挑発と捉えて殴るとか。
「俺たちはプレイヤーだからな。お前ごときゴミとは違うんだ。」
あぁ、こいつらもプレイヤーになったんだ。
そういえばこいつがイジメるようになった理由は推測だけど劣等感なんだよな。ここで優越感得たから劣等感がなくなっていじめはなくなるんじゃねぇのか?
いや、ちげぇか俺もプレイヤーだしまた劣等感でイジメるわこいつ。
「さあ体育館に行きますよ!」
委員長が先導して体育館まで行く。
並んで座っていると校長の話が始まった。
「皆さん、未曽有の災害を乗り越え誰一人かけることなく・・・」
長い。この校長話長いんだよ。最高記録35分だぞ。ケツ死ぬわ。
「では、長くなりましたが。今からこの国のため、町のために戦ってくれているプレイヤーの生徒を紹介します。では、名前を呼ばれた人から壇上に上がってください。」
次々と呼ばれていく、こういうのって一年からじゃないのか?三年から呼ばれてる。
「1年、山中剛真、山口豹太、山本敦」
こいつらが山中グループ。なんかどや顔で壇上に上がっていってる。何してんだろ。
計6人が壇上に上がっている。全員野球部とかそういう系統の感じ。
「雪宮由美佳」
学校でも有名なかわいい子だ。喋ったことないけど。
「最後、草間修斗。」
あ、呼ばれた。それもそうか。そもそも協会に学校名言ってるわ。
凄い顔でこっちを睨んでる。
「では、皆さんからひと言ずつ、あとそのスキルとかも見せてもらえたらなって思います。」
三年生の先輩から始まり、みんな熱く守るなど話してからスキルを披露していく。
披露されたスキルは
・Rスキル『速度上昇』少し速度が上がる。
・Nスキル『予感』なんとなく気配で嫌な感じする時がある。
・HNスキル『勇気』少しだけ恐怖への耐性が上がる。
・HRスキル『オーバーヒート』見た感じ体の一部の温度を上げる。
・Rスキル『柔化』体の一部を柔らかくできる。
・Rスキル『水利用』体内の水分を使用して水を操る。
・SSRスキル『毒劇』自在に毒を生み出す。
最悪だ。紹介しようとしていた『発熱』が山中とガン被りしてる上に俺のほうが上位互換だ。てか、雪宮さんエグイスキル持ってるな。
「えーあー・・・」
「お前嘘ついたんだろ!!お前みたいなゴミがプレイヤーなわけないだろ!!」
何を言おうか悩んでいる間に山中が大声を出して俺を糾弾する。
「何のメリットがあって偽る。極光の威光発動。」
オーロラのような光に包まれる。
「なんだそのスキル、光るだけか?だっせぇ!!」
山中・・・お前今まではコソコソもみ消せるようにイジメてたのに全校の前でやったらあかんやろ。
「このスキルは発動中全ステータスを1.6倍にする。」
「いらねぇなそんなゴミスキル!」
こいつアレだろ、ポケットなモンスターを育成して旅するゲームのモンスターの技全部高火力技にするだろ。
「はい、ということでプレイヤーの皆さんでした。」
あ、強引にまとめに行きやがった。
「さて、私からの話は以上です。」
そこで集会は終わり解散となった。終わった後プレイヤーとして紹介された人たちのところに人が集まっている。
俺のところにも何人か来た。
「ねぇねぇ!武器って持ってるの!!」
めっちゃぐいぐい来る。誰だこいつ。入学してから人とほぼ関わってないから名前がわかんない。
「あ、あぁあるけど、どちら様?」
「うちは隣のクラスの石動流美!るみでいーよ!」
めっちゃギャルだ・・・
「うちもプレイヤーになりたいんだけど、どうやったらなれるの?」
俺は初日の最初のプレイヤーだからあれだったけど、協会に行ったらダンジョンの一部があるからそこに入ったらなれるはずだけど、そこまで知られてないのかな?
「ああ、協会に行けばなれると思うけど・・・」
「じゃあ連れてって!!」
えぇ・・・
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