第5話 攻略後

『アイテム:異界の記憶、格上殺しの極意を入手しました。』


スキルじゃなくてアイテム?等級も書いてないし・・・


『スキルを獲得しました』


USR 蘇生リヴァイブ

以下の条件を満たした場合のみ発動可能

・MPを100%消費

・HPを99%消費

・死後30分以内であること

・身体の欠損が80%以内であること

・8760時間に一度のみ使用可能である


めっちゃ条件厳しいやんけ。8760時間って何日だ?一日が24時間だから・・・丸一年やんけ。


「うぅ・・・」


なんだこの声。声のするほうに向かってみると小さい子供がいた。

これが異界の記憶か?いや、まあ確かに記憶だけど。こんな感じのもあるの?


「血・・・」


血?こいつ吸血鬼ってやつか?あ、だから自己蘇生に回復能力があったのか。

手首を切り血を流して子供の口に垂らす。


【おー献身的だなぁ】


頭の中に声が響く、男の声だ。


【そう警戒するなよ、ダンジョンでアイテム化の肉体構成の大半を姫様に回したから仕方なく同居させてもらってるぜ。記憶のほうが比重大きいが人型にギリギリなれるくらいだからな。】


なるほど、こうして肉体をアイテムととらえるタイプのこともあるのか。


「じゃあお前は格上殺しってことか?」


【そうそう、スキル扱いで中に入らせてもらってる。】


「じゃあ俺の中に魂二人分入ってるってことか?それ俺の体大丈夫?」


【理解が早くていいねぇ。ま、何故か魂の器が2個あったから空のほうに入らせてもらってるから気にするな。】


ふーん、まあ今はいいや。それよりも子供だ。


「うっ・・・」


「起きたか?」


「ひゃあっ!!」


そんなに怖い顔してたかな?ちょっと傷ついたんだけど。


「あ、ごめんなさい・・・」


「俺は草間修斗。名前はなんていうのかな?」


「えっと、アイラです。」


白く長い髪に、同じように白い肌を持っている女の子。年の頃は13・・・14くらいのあどけなさの残る顔立ちをしている。


「君が異界の記憶ってことでいいのかな?」


「多分、そうだと思います・・・」


「取り敢えず俺の家来るか?」


「良いんですか?」


「うん、どうせ今俺と妹しかいないし。」


両親は出張中だし。


アイラの肩を支えながらダンジョンから出る。

中腰がきつい普通におぶった方が楽かもしれん。

歩くこと20分ようやく家についた。


「ただいまー!おーい!優香!」


「なに?うるさいな・・・」


こいつ寝てたな。まあいいや。


「この子風呂入れてあげて。俺がいれるのは色々不味い。」


「えー・・・」


「アイス買ってくるから。」


「仕方ない。おいで。」


アイラを置いてアイスを買ってくる。10分ほどで家に帰ることができた。まだ風呂に入っているみたいなので食事を作ることにした。といってもおにぎりと漬物くらいだけど。妹は少食だし俺は量食えれば特に文句ないしね。


【そうそう、格上殺しだけどよ。】


「急にしゃべるじゃん。」


【まあ聞け。俺は一応スキル扱いだから、格上殺しを教えたら多分消えちまうんだよ。】


「じゃあ教えなくていいよ。アイラも悲しむだろ。」


【ああ、姫様を一人にするわけにはいかないからな。】


ああ、こいつがブツクサ言ってたのは姫様っていってたのかスッキリした。


【少しでも魂を回復させるのに奥で眠ってるから用があったら呼んでくれ。】


「あいよー」


おにぎりを作りながら返事をする。鮭と梅干と塩でいいか。あ、インスタントの味噌汁もあったな。


「あがったよー。」


ちょうどできたタイミングで声を掛けられる。


「おう、まあ座れや。」


約30個のおにぎりが並んだ大皿を出す。


「うわ、この量どうする気?」


「残ったら俺が明日の朝にでも食うよ。」


「良いんですか?こんなに・・・」


「ああ、腹いっぱい食べな。」


すごい勢いでおにぎりをほおばり始めるアイラ。そうとう腹減ってたのな。


「ひゅう!」


あ、梅干はさすがに初めてだとキツイかな。


「あっはっは、酸っぱいだろ。」


「ひゃい・・・」


味噌汁を飲んで中和している。


「でも美味しいです。」


「まあ、詳しい話は明日だ。今はゆっくり休めや。」


「あの、イザクは・・・」


「何それ?」


「青い髪の・・・」


「ああ、俺の中で寝てるよ。疲弊した魂回復させるんだと。」


「そうなんですか・・・」


「まあ魂あるから体用意出来たら何とかなるやろ。」


「そうですね。じゃあそれまで恥ずかしくないように頑張らないとですね!」


涙をこらえ笑顔を作るアイラ。気丈な子だ。


食事を終えアイスを食べた後、一日を終えた。

一応スマホで報告はしたけど、明日には協会に足を運ぼう。

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