最終話 ありがとう、そして、さようなら……
「こんばんは!
いおりん!
あのね、
聞いてくれる!
嬉しい報告と、
悲しいお知らせがあるんだけどね……
まずはね、嬉しい報告なんだけど
なんだと思う?
あのね、
私ね、
伊織君からね、
なんと、
告白されちゃったの!
今日、一緒に遊びに行った帰りにね、
伊織君から、
『実は結衣ちゃんのこと、
前から好きでした。
これからは幼馴染みじゃなくて、
恋人同士の関係で、
いて下さい』
って!!
私ね、びっくりしちゃって!
なんて反応したらいいか、
分かんなくなっちゃって!
でね、
『うん、
まぁ……
伊織君がそう思うなら、
別にぃ……
断る理由は……
ないけど……?』
とか、
変なこと口走っちゃったんだけどね。
でも、本当は、
もう、本当に嬉しくて、
嬉しくて!!
伊織君も私のこと、
想っててくれたんだって。
そう考えると、
本当に嬉しくて……
こんな私でも、
想いは通じたんだなぁ……って、
今までの辛いこととか、
苦しかったことも、
全部吹き飛んじゃって!
私って、
本当に、
幸せ者だなぁ~
って思っちゃって。
それもこれも、
いおりんのお陰かなーって。
こうやって相談にのってくれたし、
おまじないの効果もあったのかなって。
だって、いおりんとお話しし始めてから、
伊織君とまた一緒になることができだし。
私の自分の気持ちにも、気が付くことができたし。
……
……ありがとうね、
いおりん!
……
……でね?
その……
残念な、お知らせなんだけど?
あのね?
いおりんとも、
今夜で、
お別れになっちゃうんだよね。
願い事が叶ったら、
この、おまじないも、
終わりにしないといけなくて……
……
…………
せっかく仲良くなれたのに、
ごめんなさい、いおりん。
私もね、
これからはしっかりと、
自分の気持ちや考え、
伝えたいことを、
直接相手に話せるようにしないと、
いけないと思うんだ。
だからこれからは、
伊織君に直接お話しできるように頑張らないと。
でも心配しないでね。
今でいおりんと、
話す練習してきたから、
きっと伊織君と、
これからもうまくやっていけるはず。
……
……だからね、
本当にありがとう。
別にこれが、
一生のお別れじゃないからね。
また、なにか相談したくなったときは、
話を聞いてもらうかもしれないけど……
……
…………
……今まで、
ありがとうね。
しばらくの間、お別れだけど、
また今度ね。
おやすみなさい。
いおりん!」
チュ!
ぎゅ~~~!
ぎゅ~~~っ!!
(……
…………これで僕の金縛りも、
終わるのかぁ……
僕も、いおりんには感謝だね。
結衣ちゃんの気持ちに、
気づかせてくれたんだから。
僕もしっかりしないと。
これからは直接僕の耳で、
結衣ちゃんの話を聞いてあげないと。
真っ直ぐ向き合って、
気持ちを分かってあげないと。
……
……でも、
いおりんみたいに、
ベッドの上で、
抱き締め合って、
耳元で囁かれるのは、
まだ、だいぶ先の話し……かな?)
午後10時15分、僕は彼女のぬいぐるみになる 夜狩仁志 @yokari-hitosi
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