第15話 特別って……

「いおりん!

 ねえ!

 聞いて聞いて!!


 私の、こと特別なんだって!!


 今日ね、伊織君が言ってくれたの!


 伊織君が一緒に帰ろうって言うから、

『しょうがないわね』

 って一緒に帰ったんだけど。


『なんで一緒に帰ろうとするの?』

 って聞いたの。

『これってどういう関係なの?』

 って。


 そしたら……

『帰る方向、同じだし、幼馴染みだし』

 って言うんだ。


 じゃあ?

『幼馴染みってどういうこと?』

 って聞いたら……



 特別な存在だって!!


 特別だよ! 特別!!


 スペシャルってことだよ!!


 伊織君が私のこと、特別だって!!


 他とは違う、

 オンリーワンってことだよね!?


 私、その時は、

『ふぅ~~ん、そぉ?』

 って答えて、

 それっきりだったんだけど……


 まさかねっ!

 伊織君が私のこと、


 特別な人、って思ってたなんてね!


 まぁ?

 なんていったって、

 私と伊織君は、

 幼馴染みだからね!


 昔からの付き合いだし!


 家族を除いて、

 今までで一番、

 一緒にいた人だからね!


 学校の生徒で、

 誰よりも伊織君のことを知っているのは、

 私だけなんですからね!


 好きな食べ物も、

 どんなテレビ見てたかも、

 得意なことも、

 苦手なことも、

 どんな遊びが好きかも、

 お気に入りの場所も!


 ふふふっ……


 私……特別なんだぁ……


 伊織君の過去を知ってるのも、

 今いる生徒の中では、私だけだし!


 それに、

 これからの未来を一緒に見るのも、

 私だけだし!


 過去、現在、未来、

 一生側にいられるのは、

 私だけなんだからね!


 それは、もう、

 特別だよね!!


 他の人にとっては特別かもしれないけど、

 伊織君と私にとっては、

 普通の日常のことだよね!?


 だから、全然気づかなかったけど……


 私って、

 特別だったんだ……


 ねぇ、いおりん?

 すごいでしょ?

 羨ましいでしょ?


 エヘヘ……


 そんなに、がっかりしないでね。

 いおりんも、私にとっては、

 特別だからねっ!


 ふふふ……


 そっか~

 そうなんだぁ~~


 私って特別だったんだ~~


 みんなとは、

 一歩リードしてるんですからね!


 ふふふ


 ぎゅ~~~


 特別かぁ……


 ふふふっ


 私にとっても、

 伊織君は、

 特別な人だよ……」



 ぎゅ~~~っ!!



(……


 ………えっと、


 なんか、


 すごい解釈しちゃってるけど……?


 確かに、

 結衣ちゃんは特別な存在だし、

 大切な人だけど……


 ちょっと……

 恥ずかしいくらい、

 大げさじゃない?)

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