第9話 お昼休みにね……

『こんばんは、いおりん。


 あのね、聞いてくれる?


 相談なんだけど……


 ……


 ……お昼休みにね、


 伊織君と一緒に、


 ごはん、食べたいんだ。


 中学の時は給食があって、

 一緒に食べる機会があったんだけど、


 高校はお弁当だから、

 なかなか一緒に食べるチャンスがないんだよね。


 伊織君はいつも、

 パンとか、おにぎりを買ってきて、

 友達と一緒に食べてるんだよね。


 私はいつも家からお弁当持っていって、

 女の子たちと一緒に、

 集まって食べてるんだけど……


 たまには伊織君と、

 お昼ごはん一緒に食べたいなぁ……


 ……って、


 …………ほら、


 なかなか、誘うのも難しいでしょ?


 お互い仲良しグループで集まってるし。


 給食とかだったら、男女一緒に食べても不思議じゃないけど……


 教室で伊織君と二人でってのも……


 恥ずかしいでしょ?


 回りから絶対、変な目で見られちゃうでしょ?


 ……


 …………でも、


 たまには二人でごはん食べたいな~~って、思って。


 なにかいい方法ないかな?


 やっぱり、

 教室で二人になるのは恥ずかしいから、

 まず、伊織君を教室の外に連れ出さないと。


 でも、どうやって?


 連れ出した先で、一緒にごはん食べるようにするなんて……


 どうすればいいの!?

 何て言って誘えばいいの?


 二人で一緒に食べようって?


 そんなの恥ずかしくて言えないでしょ!



 あぁ……


 伊織君、

 お昼ごはん、

 忘れてきてくれないかな……


 そうすれば私が、

『しょうがないなぁ~ 

 私の分けてあげるよ』

 って言って、私のお弁当半分こ、してあげられるんだけど……


 ほかには……

 私がいっぱい作り過ぎちゃって、

 余ってるから一緒に食べよう、って誘う?


 それなら別に伊織君じゃなくても、友達でもいいってなるじゃん?


 ……


 なにかいい方法ないかなぁ……


 ねぇ、いおりん?


 いい方法、ないかな?


 ……


 …………


 えさ?


 毒味??


 ……


 ……そっか!


 試しに作ったお弁当を食べてみて?

 って言って、食べてもらえばいいんだ!


 他の子だと、

 もし食中毒とかになったりしたら大変だからって、説明して。


 伊織君なら、

 昔からの付き合いだから、

 何かあっても大丈夫っ!

 って言うことで!


 伊織君を連れ出して、私のお弁当、

 食べてもらえばいいんだ!


 なるほどね!

 そうしよう!


 そうすれば、

 回りからも変なふうに見られなくて、

 二人一緒にお昼、食べれることになるよね?


 これ、私の試作品の料理の毒味をしてるんです、って言えば不自然じゃないよね!?


 じゃあ、明日は早起きして、

 美味しいお弁当、作ろう!


 ありがとう、いおりん!


 また明日ね、

 おやすみなさい!』



 ぎゅ~~~っ!!



(……


 ……えさ? 毒味?


 取りあえず明日は、


 お腹すかせて行けばいいのかな?)


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