第3話 会話がね……

「こんばんは! いおりん!


 ねぇねぇ!!

 すごいんだよー!

 聞いてぇ!


 今日ね!

 なんと!

 伊織君と!

 一緒に!

 学校から!


 帰ったんだよ!!


 すごいでしょ! ね!


 しかも伊織君から声かけてきてくれたんだよ!

『たまには一緒に帰る?』

 って!!!


 でも、突然すぎて、

 その時は恥ずかしくて、

 ついうっかり、


『別にぃ?

 一緒に帰ってもぉ?

 いいけどぉ?』


 なーんて、

 そっけなく答えちゃったんだけど、


 ほんとは、すーっごーく嬉しくて!!


 顔が赤くなってないか?

 心臓の音が聞こえてないか?


 心配で……不安で……

 まともに顔をあわせられなかったの……


 念願の伊織君との下校。

 なんか、青春って感じ……


 でもね……

 また失敗しちゃって……


 実は全然、会話が弾まなかったんだよね。


 私、緊張しちゃって、

 なに話したらいいか分からなくなっちゃって……


 回りに人がいると気になっちゃうんだけど、

 逆に二人っきりになったら、

 それはそれで気まずくなっちゃって。


 なんか……

『車が走ってるね』

 とか……


『明日になったら、明日になるよね』

 とか……


『マンボウって、一回で3億個の卵を生むんだよ』

 とか…………


 もー 最悪!!


 変なことっかばっか口走っちゃって!

 こんなんじゃ、おかしな子と思われちゃうじゃん!


 ……


 …………はぁ、


 どうしよう。


 つまんない女の子って、思われたかな?

 もう明日から一緒に、帰ってくれないかも……


 いおりん?

 どうしたらいいかな?


 ……


 …………


 いおりんと話してる時みたいに?

 話せばいいって?


 ……そうだね。


 明日、また頑張ってみるね。


 ありがとう、いおりん!

 相談にのってくれて!


 おやすみなさい!」



 ぎゅ~~~っ!!



(……


 ……だから変なことばっか話してたんだ。


 明日も一緒に帰るように、


 誘ってみようかな)

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