第4話 雨だね……
「こんばんは! いおりん!
今日も聞いてくれる?
最近、雨が多いよね。
今日も雨だったし。
なんか雨降ると、憂鬱な気分になるよね。
暗いし、
ジメジメするし、
制服、濡れちゃうし、
髪の毛、ごわごわになっちゃうし、
傘ささないといけないし、
登下校も面倒だし……
そこでね、私、
いいこと思いついたんだ!
聞いてくれる?
明日、夕方から雨が降る予報なんだけど、
わざと傘を忘れてくの。
で、帰る時、慌てて傘を探して、見つからなくて。
どうやって帰ろうか、
伊織君の前で悩むの。
そしたら伊織君は優しいから、
『一緒の傘で帰ろう』
ってきっと言ってくれると思うんだ!
一つ傘の下で二人っきり。
体が擦れるくらいの距離まで、
急接近!
雨の音で周囲の音は遮られて、
私たちだけの世界!
そこでなら気兼ねなく、
お話しできると思うんだよね。
どうかな?ね?
どう思う!?この作戦!?
きゃっ!
これなら、やましいことなく、
合法的に伊織君の近くにいられるよね。
回りになにか言われても、
傘、借りてるだけだから……
って言えるし。
よし、そうしよう!
明日は傘を忘れていくこと!
あとは、帰る時に雨が降りますように!
いおりんも、明日雨が降るように祈っててね。
これなら憂鬱な雨でも、
ハッピーな気分になれるよね?
おねがいね、いおりん!
おやすみなさい!」
ぎゅ~~~っ!!
(……
どうしよう……
傘、2本持っていって……
いや、
ここは……
1本でいいかな?
で、恥ずかしいから、
内側が見える透明じゃないやつで。
あと、ちょっと大きめの傘?)
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