第23話「愉快な復讐チームを紹介するぜ!!」


「そう、私の復讐とは規模が違うのね……」


「母さん……」


 やはり村は大事だろうし、それに今までの関係上、皐雪や冬美さんと協力するのは難しいのは分かるが納得してもらうしかない。


「さすが私の息子ね!! ガンガンやりなさい!!」


 何か違う……もう少し反対されるとか思ったのに母さんは全面的に俺に賛成した。何というか吹っ切れた後のキャラ変が凄い。


「母さんも、お義母さまも賛成なの?」


「ああ、これには驚いた」


「そりゃそうですよ先輩方、お二人は割食ってますもん、ま、私の実家が原因なんですけどね~」


 そう言って苦笑するのは後輩の月だ。だがコイツはどうしたものか復讐相手の家の人間なんだよな。まさか鉄雄が俺に情報を流さなかったのも原因は月か?


「ね、こうちゃん、月には助けてもらったから、そのぉ……」


「ああ、岩古の人間だが見逃すさ、さゆのためにな」


「いや、見逃すっていうか……うちの実家に勝ち目有るんですか先輩?」




 月も視点は悪く無いが村の因習にドップリで岩古の呪縛からは逃れられないようだ。そもそも村の中にいる時点で広い視座は持てないだろう。


「もちろんだ……」


「先輩、私の実家を舐めてません?」


 まず岩古の支配の根底は洗脳と掟の相互作用だ。生まれた時から岩古の考えは絶対で間違いが無く掟に従うことが最優先と教育される。俺の家ですら盲目的な教育を施されたから本家の月にはバイアスが凄まじいのは御覧の通りだ。


「お前こそ俺の社会的地位と金の力、舐めてんだろ?」


「そりゃ先輩が外で強いのは何となく分かりますけど……」


 だが俺は皐雪の件で脳破壊され怒りで洗脳や教育が完全に解けた。そして復讐のために動き出す過程で村の外と中の差異に気が付き一つの答えを導き出した。


「ああ、だから、ここも外にするんだ……」


「こうちゃん……私もお義母様も頭すっごい悪いんだよっ!! 分かりやすく言ってよ……あいたっ!? すいません、お義母様、こうちゃん助けて~!!」


「このような口と性格も直さなくてはいけないわねぇ!!」


 義母にお尻ぺんぺんされる35歳の女が真顔で俺に助けを求めて来た。これは娘には見せられない光景だ。俺も名誉のために黙っておきたいが一つ興味がわいた。これは今夜のプレイに使えそうだ。


「母さん、ほどほどに後は俺が躾けるから」


 そう言うと母さんは止めたが皐雪は顔を真っ赤にしていた。こいつ……俺の頭の中を読みやがった。


「うわぁ……変わってないよ~テツ」


「ああ、変わってねえわコイツら……」


 そして幼馴染の二人が冷静に俺と皐雪を分析している。そんな話より今は重要な話が有る。皐雪に話の腰を折られたから抱き寄せ黙らせる事にした。


「きゃっ、こうちゃん……まだお昼だよ~」


「少し黙ってろ、後で説明する」


 俺が言った瞬間スマホが鳴り響いた。通話相手は腹心の部下だった。


『社長!! 全て完了しました、すぐ参ります!!』


「そうか、皆は?」


『既に配置に……ただ手続きに関しては三ヶ月後で申し訳ありません』


 やはり時間がかかる……来年なら完璧だったが仕方ない。ま、葬式だけは予定通りに行かないから……。


「急だったからな……だがメイン以外は問題無いだろ?」


『はい、既に許可は下りました……昨日に』


「ああ、じゃあ始めよう。無法地帯に法の理不尽を見せてやるぞ、リオン」


『お任せ下さい……必ず』


 そして電話を切った。周りの皆は俺を不審そうに見ているが問題は無い。


「こうちゃん、カッコよく決めてるけど大丈夫なの?」


「明日には分かる……だがその前に俺の部下や協力者を紹介しよう」


 俺が言った瞬間、表で怒鳴り声が聞こえた。下の町どころか村の付近で既に待機していたらしい……手間が省けそうだ。




「何事だ!? 鋼志郎!?」


「心配無用、俺の部下と協力者だ」


 俺はすまし顔で言うが父は慌てていた。騒ぎが大きくなっているのは当主として看過できないだろう。


「だがっ!?」


「定幸、それに鈴も、茶髪の背広姿の男を筆頭に数名来るから、ここに通してくれ」


「は、はぁ……なっ……」


 そしてバタバタと音がする中で登場したのは俺の部下の洋野リオンそれに協力者の男女二人だ。彼らが歩いて来た廊下は家人たちが何名も倒れ伏していた。


「社長……お待たせしました」


「よ、コウ来たぞ? 今度は助けによ、あの時とは逆になったな」


「お久しぶりねコウさん」


 俺は想定外に強力な助っ人が投入されたことに驚いた。この二人が来てくれるとは思ってなかった。相変わらずのイケメンと美女だ。


「リオン、それにまさかグループが甲斐夫妻を寄越してくれるなんて……これは期待されてると見て?」


「会長は君を高く評価している。例の事件での君の介入には感謝しているんだ」


「俺は借りを作るべき相手だと思っただけさ……あいつら元気ですか?」


「ああ、三人で頑張ってるそうだ」


 それを聞いて俺はフッと笑みが漏れた。そうか……頑張ってるんだな。俺以上に苦しんだガキ共が頑張ってるなら俺も頑張らないとな。


「あの自分全否定のガキ共もやっと根性見せたか、なら俺も頑張らないといけないな。改めて甲斐零音れおんさん真莉愛マリアさん協力を感謝します!!」


「ああ、千堂グループは子会社であるSW社の社長、山田鋼志郎氏を全面的に支援する……俺達は君の力となろう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る