第27話 告白と誘い

「そ、それは……」

「私、知ってたんだよ。大和君が小さい頃から私の事を好きでいてくれてるの。まああの人もいたし、大和君も小学生だったから年上に憧れを抱く時期なのかなと最初は思ってたの。でも、私が結婚してからも好きな気持ちは変わってなさそうだって泰希から言われたし、泰希と一緒に映ってる大和君の写真見せられる内にどんどん男性的に成長していく大和君がかっこよく見えていったんだ」

「夕希さん……」

「もちろん、あの人の事は愛してた。それはそうだよ、夫婦だもん。でも、あの人は私に酷い言葉を言い始めたし、私に興味がなくなってきたのか不倫もしてた。そして離婚まで言い渡してきた。だから、本当にショックだった」



 夕希さんの表情はとても暗く、さっきまでの大人の色香を漂わせた扇情的な雰囲気よりは悲しそうに泣いている女の子みたいな雰囲気を漂わせていた。



「そんな時、泰希が大和君に会わせてくれた。もうビックリしたよ、あんなに小さくて可愛かったしば君がもう立派な男の人になってたし、まだ私の事を好きでいてくれたんだから」

「やっぱりわかりやすかったですか?」

「言動がもうね。でも、私もいまは独り身だし、大和君が私の事を好きなら未成年だったとしても付き合いたいなと思ったし、色々な事をしたいと思った。もちろん、エッチなことも」

「ゆ、夕希さん……」

「やっぱり私じゃダメ……かな?」

「そんなことないです!」



 俺は夕希さんの肩に手を置いた。



「大和君……」

「夕希さんは本当に昔から綺麗でしたし! 俺だって夕希さんが相手だったら本当に幸せだと思います!」

「それなら……」

「……でも、ダメです」

「どうして? 私がいいって──」

「……そんな悲しそうな夕希さんじゃなく、幸せそうな夕希さんがいいんです」

「え……?」



 夕希さんは驚いた顔をしていたが、やがてその目からは涙が流れた。



「俺だってこの状況を意識してますし、二人きりだからそういう事をしたいなと思います。でも、未成年を相手にして後で後悔をする夕希さんなんて見たくない。俺は夕希さんに悲しんでほしいんじゃない。いつだって笑っていてほしいんです。それが何よりの幸せですから」

「やま……とくん……」

「だから、今はダメです。俺が未成年でまだ恋人同士でもない今は」



 それが俺の本音だ。この言葉に後悔なんてしない。そうして見つめあっていた時だった。



「クシュ……」



 夕希さんがくしゃみをした。雨の中歩いてきたから体が冷えたんだろう。



「大丈夫ですか?」

「それはだいじょ……クシュン!」

「大丈夫じゃなさそうですね。ちょっと待っててください。いま風呂を沸かしてくるので温まっていってください」

「え、ちょっと……!」



 夕希さんが制止しようとしたが、俺はすぐに夕希さんの体を温めないといけないと考えて風呂場に急いだ。

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