10円


君が夢を見るときに

私がそこに存在しませんように


たかだか10円の祈りを神前に奉る


その横でたかだか25円に

私たちの永遠を夢見てる君がいる


季節が巡れば否応にも大人にされて

人間なんて四方八方に投げ捨てられるのに


彼女は今も"ずっと一緒"を信じている


二つで一揃いのお守りを分けあって

寒いからってソフトクリームをシェアして


はじめから持ってこなかった手袋のかわりに

冷えきった私の指先が彼女のぽっけに誘われる


色ちがいの髪飾りも


クリスマスに交換したイヤリングも


"ずっと一緒"のために

きらきらきらきら


存在している


かわいい人、お願いだから幸せでいて


人混みでも見失うことなく私だけを見つめる

君の瞳を愛してる


タイムリミットが切れたら

私たちは急に物わかりが良くなって

絶対だよって手を振りながら

背中合わせに歩んでいく


どうしてそうなんだろう

でもどうしてもそうでしょう?


だからせめて心を込めて祈る


忘れてね、全部


違うね、

はじめから無かったものとして

本物の"ずっと一緒"を見つけてね


こどもの遊びはもうすぐおしまい


私の世界もあとわずか



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