遠くに海


選べるほど人生の種類を知らないから

こうやって生きてる


良いとか悪いとか以前に

とにかく知らないことが多い


無知は選択できない

選択肢を知らないから


だからあたしの人生に脱線はない


常に一方通行真っ直ぐ進んできた


それなのに他人は私を負け犬みたいにいう


ドロップアウトも糞もねえよ

あたしの道にお前が勝手に侵入してきたんだろ


人様の敷地に土足で上がり込んでおいて

具合がどうだ景観がどうだのと文句つけんな

何様のつもりだよ


でもあたしは無知だから

こいつらの不法侵入を防ぐ方法を知らない


バリケードはとっくの昔に破られた

人感センサーはぶっ壊れてる

通報システムは機能してない


だから無法者たちとぐちゃぐちゃになりながら

この道を真っ直ぐ歩き続けている


歩いて歩いて歩き続けた先に

海が見えたらいいな


最後は海がいい


潮風を思い切り吸いこんで

太陽に目を細めてさ


波の音に心地よくなりたい


ほんとは、それが良かったな


シーツの沼に沈む


ほんとは、それが良かった


太陽どころか月も見えない


ほんとは、


気色の悪い音がいくつかぶつかって

そのうち何も聴こえなくなる


ほんとに、それが良かったの


海はまだ遠い






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