こもれび


私は影なの 光にはなれない


だけど君は闇じゃないでしょう

影は影でも木陰じゃない


俯いたあなたの長い黒髪の中に入る

見上げた先の瞳にあたしは決して映らない


ざわざわと風があなたを揺さぶる度に

隙間から太陽がこぼれる


あなたの影は暗くないのに


一体何処のどいつがあなたに暗いと思わせたの

誰があなたを揺さぶったの


あたしなら

あたしの闇なら


あなたは自分の明るさに気づくだろうか


いいえ、よしましょう

そんな馬鹿はよしておきましょう


あなたのきらきら光る瞳に

あたしは決して映らないのだから


あたしは闇 光にはまみえない


なだめすかして太陽が顔をあげると

黒髪の木陰は失われる


白日の元に引きずり出されるあたしに感謝して

あなたは自分の足で歩きだす


私の世界では

太陽は一つ所にとどまらないから仕方ないけれど


願わくば

あなたのつくる木陰が私にだけ与えられますように

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る