拝啓


ペン先であなたを刺したかった


ペンは剣よりも強しって聞いたから


どんな刃物よりも鋭く深く

あなたの心臓を抉りたかった


さてこの手紙を読んでいるということは

私はこの世にいないと言うことです


ごめん、嘘


一度言ってみたかったんだ、この台詞


本題に入るね


あなたの質問通り

私はあなたを本当には愛していません


これまでもこれからも

私が誰かを愛することはないでしょう


愛は私から最も遠い星だと思うの


だからあなたの思うあなたの責任とやらは

この宇宙のどこにもないよ


あなたはひたすら輝いていた


闇に光る一等星はあなただと本気で思ってる


だけどあなたは愛の星の住人だから

私がそこへたどり着くには

何億後年もの旅をしなくちゃいけない


ごめん


何かずっと変な話してるや


えっとなんだっけな


そう


とにかくあなたは何にも悪くないの


特別で幸福で完璧で

あなたには全てが備わっていて

尚且つそれを惜しみなく周囲に振りまいて


世界を照らす光なの


ごめん

やっぱ変なテンションになっちゃうや


愛してはなかった

私に愛は存在しないから


でも間違いなく

私が出会った人の中で

一番はあなたでした


宇宙のどこかでまた会えたなら

あなたのための闇になりたい


さよなら


ごめん

これ以上書いても変なことばっかになると思う


だから


さよなら

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