ピンク
はじめに好きになったのはピンク
かわいくて、うきうきするから
つまさきからつむじまでピンクにしたかったけど
おかしいからよしなさいって言われた
そうか、おかしいのかあって
ちょっと悲しかった
だけどある日テレビに全身ピンクの女の子が映った
帽子もスカートも靴も
ほっぺもリップも
全部ピンクだった
一つもおかしくなかった
しかもかっこよかった
その日からピンクは
かわいくてかっこいい色になったし
ますます大好きになった
だからめげずにピンクの物を集めたし
生まれてはじめて駄々をこねて
ランドセルはピンクにしてもらった
まわりの子はだあれもピンクじゃなかったし
変なのって子供にも大人にも言われたけど
真っ赤なランドセルの中
たった一人ピンクで登校するのは
ちょっと特別な感じがして好きだった
そのうち好きな色は水色になり、紫になり
黒になり、オレンジになり
最近は気分によって好きな色が変わるようになった
小さな頃みたいにはピンクを集めないし
ファッションに取り入れることも無くなったけれど
ピンクの物をみると
何となく心がほかほかする
今日、ずっと暗かった髪をピンクに染めた
ピンクといってもあのランドセルみたいには
明るくないしほとんど茶色みたいなものだけど
はじめてネイルもした
薄いピンクのやつ
子どもの時ぶりにピンクを身につけて
すごくドキドキした
私の好きな色が
私の爪にきらきら光ってるのがすごく不思議
そう、これは私の好きな色だ
私の、私の好きなピンクだ
かわいくてかっこいい
大好きな色
ぽろぽろと大好きだったものが
両目からあふれていく
もう何も取りこぼしたくないから
両手で受け止める
私は私の大好きを
もう二度と忘れるもんか
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