マリナの逆襲1
アリシアが連れ去られた後、偶然そばを通りかかった近衛騎士に救助された。そばにいた大量のゴブリンたちは近衛騎士の姿を認めると、すぐさまマリナから離れ、そのまま路地裏へと逃げてしまった。近衛騎士たちはそのまま追跡するも、途中でゴブリンたちの姿を見失ってしまった。
マリナはそれから守備師団の医務室に連れられ、リュシィから診察を受けるのだが、その間彼女はただただ呆然としていた。リュシィの言葉には上の空で、診察が進まなかった。
「ちょっとショックを受けちゃったみたいね」
リュシィの言葉にルドルフが「そうか」と応える。
「大尉…」
突然呼ばれてルドルフは「なんだ?」と返す。
「私の給料どうなっちゃうんですかね…?」
「は?」
「私の給料ですよ!アリシアさんのすぐそばにいたのに全然守れてないんですよ!?減給ですか!?それともクビですかぁ!!!?」
「おまえ!呆然としてたからアリシアのことでショック受けてんのかと思ったら、この一大事に気にすることそれかよ!?」
「そりゃあそうでしょ!?私ここクビになったら行くあてないんですよ!」
ギャーギャーと言い合うマリナとルドルフを見てリュシィは「相変わらずね」と呆れた。
「落ち着きなさいマリナ。今回の件についてあなたの責任はないはずよ。たぶん。一応あなたは非番だったわけだし、単にアリシアさんと遊びに出かけただけでしょ?責任を取るならゴブリンの侵入を許した師団長じゃないかしら?」
「なあんだ」
リュシィの言葉を聞いてマリナはとても喜んだ。それはもう満面の笑みを浮かべて。
「そうと分かれば、あとはやるべきことはアリシアさんの追跡ですね!行きますよ!大尉」
「おいおい、どこに連れられたかも分かってないのにどうやって探すんだよ」
マリナは「ふっふっふっ、それはですね」と言ってから一度医務室を出た。それから30分ほどしてロッドを携えて帰ってきた。
「ごめんなさい。探すのに手間取りました」
マリナはそう言ってコンパスを見せた。
「ジャジャーン!人探しのコンパス!この魔道具凄いんですよ!探したい人の方角を示してくれるんです!迷子探しにはとっておきですよ!」
ルドルフとリュシィはポカンとした。
「おまえ。そんな凄い代物、どうやって手に入れたんだ?」
「昔ソロでダンジョン潜ってた時に拾いました!」
リュシィは規格外のことをするマリナに対して「さすがね」と呆れながらため息を吐いた。
「さあ!アリシアさんの場所を教えなさい!」
マリナは魔力を込めて念じるとコンパスはカラカラと動き出し、それからある方角を示した。
「東の方角ですね…。では行きますよ!大尉!」
「おまえ!その格好で行くつもりか!?」
マリナは昼に出かけた時の格好のまま、つまりスカートを履いてる状態だった。
「一刻も争うんですよ!大尉もさっさと剣を持って行きますよ!」
「俺たちだけで行くつもりか!ほかの部隊にも協力してもらうとかあるだろ!」
マリナはフッと笑みを浮かべる。
「協調性のない私が他の部隊と足並みを揃えられると?」
「自慢して言うことじゃねえだろ…」
ルドルフは呆れてため息を吐いた。
「しゃーねえな。マリナは一旦外で待ってろ。準備してくる」
ルドルフはそう言って宿舎へと向かった。それから10分ほど経ってからマリナと落ち合った。
「アリシアさん救出のためにいざ出発!」
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