僕の本当の初恋!④聖編

 聖も父母の友人。父母には友人が多かった。特に母の友人が多かった。聖は僕よりも23~24歳年上。初めて会った時は30歳くらいだったのだろう。僕は聖に憧れていた。一目で憧れた。第1印象は“めっちゃキレイ!”だった。


 聖はかわいいわけではない。ちょっとツンとした美人だった。目鼻立ちのくっきりした美人だった。身長は156だと言っていたが、顔が小さかったせいかスタイルも良く見えた。清楚で上品な奥様! という雰囲気だった。僕と同じ年頃の息子の大地と旦那様がいた。


 親同士が親しいので、僕は大地と時々遊ばされた。大地がインドアだったので、遊び場はいつも大地の(聖の)家だった。大地はゲームに夢中だったが、僕は当時ゲームに興味が無かったのでいつも漫画を読んでいた。要するに、同じ部家にいるだけで一緒に遊んではいなかったのだ。


 時々、お菓子や飲み物を聖が持って来てくれる。聖はいつも良い臭いがした。僕は聖とお近づきになりたくて大地と遊んでいたのだ。だが、聖はいつもツンとしてクール、決して子供に優しいわけではなかった。だが、そのクールさ、冷たさがかっこよく見えて、より一層聖が美しく手の届かない存在に思えた。



 その日は、いきなり訪れた。小学3年生の時に大地と一緒に大地の部屋にいたら、


「眠いから寝る!」


そう宣言して大地がベッドで昼寝を始めたのだ。それは失礼だろう。僕は腹が立ったので帰ることにした。


 聖に挨拶して帰ろうと、1階に降りて聖を探した。聖はリビングのソファで寝ていた。季節は夏。クーラーはONになっていたが夏服だ。聖は寝顔もキレイだった。


「帰ります」


 と、声をかけようかと思ったのだが、せっかく寝ているところを起こすのも申し訳無い。どうしようかと思っていたら、聖の白いブラウスが第2ボタンまで外れていることに気付いた。回り込んでソッとブラウスの隙間を覗き込む。白いブラの上の方と谷間が見えた。そこで、僕の好奇心は高まった。


 “見たい! 触りたい!”


 僕は聖の胸の上に手の平をかざした。そこで動きが止まった。


 “これは、触っていいのか? いや、アカンよなぁ”


 僕が躊躇していると、


「触りたいの?」


聖が目を開けた。僕は、腰が抜けるほどビビった。


「ええで、触るくらい」

「いいんですか?」

「ええよ、触るくらい。でも、崔君ってHなん?」

「H? いや、僕、お母さんの胸も触ったことが無いから。一度、女性の胸を触ってみたくて……ごめんなさい」

「謝らんでもええで。ほな、私の胸を触ってみたら?」

「はい……」


 手の平で、包み込むようにソッと聖の胸を触った。ブラとブラウスの上からだったが、しっかりと感触は伝わって来た。ブラで少し硬いが、それでも柔らかさと大きさが伝わって来た。“何これ? めっちゃ触り心地ええやんか!”、僕は感動した。聖の胸は思っていたよりも大きく感じた。


 何秒か? 何十秒か? 僕は自分の頬が赤くなっていくのがわかった。性的な目覚めはまだ無かったが、なんだか恥ずかしかった。


「はい、そこまで-!」


 言われて、ハッとして手を引っ込めた。聖は子供がイタズラをした後のような微笑みを浮かべていた。怒ってはいないようだ。


「他にしたいこと、ある?」


 僕は正直に答えた。


「胸を直接見て、直接触りたいです」

「それは、アカン-! そういうことはもう少し大人になってからにしなさい」

「はい」

「暑いなぁ、アイスでも食べようか?」

「はい!」



 めっちゃ緊張した。でも、忘れられない素敵な思い出となった。直接見てないし、直接触ってない、ブラウスとブラの上からちょっと触っただけだったけれど。旦那様が羨ましくて仕方が無かった。



 その後、社会人になってから(どういう流れでそうなったのかは忘れたが)僕は聖と1回だけ飲みに行ったことがある。その頃、聖は40代後半で、数年前に離婚していた。聖と離婚した元旦那様の気持ちがわからなかった。聖ほどの美人を、よく手放す気になったものだ。


 で、飲みに行ったときに、“幼い頃、僕が聖に憧れていた”ということをようやく伝えることが出来た。聖は、


「あら、嬉しい」


と笑っていたが、勿論、僕達が男女の深い関係になるということは無かった。だが、20年越しの憧れの想いを直接伝えられたことだけで、僕はスッキリした。



 ちなみに、飲みに行ったとき、聖は40代後半だったが、若々しくてまだまだ美しかった。それ以降、僕は聖に会っていない。“ありがとう、聖さん!”







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