僕の本当の初恋!②千代子編
千代子は父母の友人。旦那様と子供がいた。僕の記憶に間違いが無ければ、千代子は僕より23歳年上。初めて会ったのは僕が6~7歳だから、千代子は29歳か30歳だっただろう。僕は千代子を一目見てかわいいと思った。6~7歳の男の子が30歳の女性をつかまえてかわいいと思うのはおかしいかもしれないが、僕はかわいい顔で小柄で華奢な千代子を心からかわいいと思ったのだ。
だが、6~7歳の時のことだから、それは勿論恋愛感情ではない。性欲の対象でもない。そもそも性欲というものをまだ感じていない。多分、憧れという気持ちだったのだろう。そして、その憧れの気持ちは続いた。
千代子はいつも笑顔で優しかった。僕はよく頭を撫でてもらった。千代子に頭を撫でてもらうと、僕は幸せでポヤ~ンとしたものだ。いつも笑顔でいられるのがスゴイなぁと思った。不機嫌な時や落ち込むときもあるだろうに、笑えるのが素敵だ。そういえば、千代子はよく気付き、よく気を遣う女性だった。僕にまで、何かと気を遣ってくれていたのがわかった。そんな千代子に、僕はますます憧れた。
だが、いくら憧れても、何も起きない。ゲームのようなイベントは起きなかった。気付いたら僕は中学生になっていた。
ところが、イベントは突然発生した。中学2年の或る日、僕と父母と千代子でテニスをすることになった。だが、所用で父母が遅れることになり、先に僕と千代子でテニスをして父母を待つことになった。すると、スグに雨が降り出した。季節が蒸し暑い梅雨時だったから、いつ雨が降ってもおかしくない。だが、天気予報では“くもり”だったのだ。雨は激しく大粒で、僕達はあっという間にびしょ濡れになった。仕方が無いので、掃除用具を入れる大きなプレハブ倉庫に、荷物を持って千代子と逃げ込んだ。だが、倉庫の中にも雨が吹き込んでくる。
「崔君、そこら辺に懐中電灯があるやろ?」
「あ、あります」
「雨が吹き込んでくるから、倉庫のシャッターを閉めるわ。真っ暗になるから懐中電灯で照らしてくれへん?」
「はい、わかりました」
僕は懐中電灯のスイッチをONにした。千代子がシャッターを降ろした。
「私、汗と雨で、もうびしょびしょやわ。今日はもうテニスは出来へんやろし、もう着替える。崔君も着替えたら? あ、ちょっと待って、懐中電灯で照らしてほしいから私が先に着替えるわ」
「え? 着替えるんですか?」
「うん、着がえ終わるまで照らしてや」
「あの……僕が見てるのに、着替えていいんですか?」
「何を言うてんのよ、私は崔君が小さいときから知ってるんやで。崔君は私の子供みたいなもんやんか」
なるほど、千代子は僕が幼いときのままの感覚で僕と接しているようだ。だが、僕は中学2年生になっていたのだ。僕は、性に目覚めていた。興味津々で、千代子の着がえシーンを見続けた。
夏物のテニスウエア、まずは上を脱ぐ。白いブラジャー姿が見えた。スカートを脱いだら、インナーパンツ。予想通り華奢だったが、胸は思ったよりも大きかった。ちなみに千代子は150センチくらい。僕は169センチになっていた。だから、千代子が小柄なのがよくわかるようになっていた。やっぱりかわいい。ちなみに、千代子は長くて艶のある髪を後ろで束ねていた。
要するに、僕は千代子の下着姿を見たのだ。性に目覚めていた僕だったが、その時の千代子は性的な対象に……ならなかった! 美しすぎて! 美術品を見ているかのような気分になった。“こんなにキレイな女性と結婚している男がいるのか!”と、僕は千代子の旦那様が羨ましくて仕方が無かった。
千代子はTシャツと夏物の長めのスカート姿になった。
「ああ、さっぱりした。今度は私が懐中電灯で照らすから、崔君が着替えたら?」
「あ、はい」
僕もTシャツとデニムパンツに着替えた。しばらく雨宿りをしていると、父母が傘を持ってきてくれた。そこで、千代子は傘を差して帰って行ったのだが、僕は千代子の美し過ぎる下着姿を忘れない。というのは嘘で、もう忘れている。目に焼き付けるという表現があるが、やっぱり月日が経つと思い出せなくなるのだと知った。
だが、千代子が美しくてかわいい魅力的な女性だったということはおぼえている。あの梅雨の日は、僕にとっては一生忘れられないイベントだ。僕は、とても素敵な女性に憧れることが出来たのだ! 人生で心から憧れた人がいた、これって幸せですよね! 千代子に出会えて良かった! “ありがとう、千代子さん!”
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