僕の本当の初恋!①珉編
珉、当時35~36歳。僕、当時9~10歳。珉は父母の友人。そして僕の憧れの女性。その珉が、自分の娘達を1泊で海に連れて行くので崔君も来ないか? と誘ってくれた。多分、僕は小学4年生だったと思う。3年生だっただろうか? とにかく、僕は迷わずついていくことにした。単純に、珉と一緒に海に行きたかったのだ。だが、そんなことは誰にも言えなかった。
海は最高だった。珉の娘は僕より2つ年上の夏美、そして僕と同じ歳の美夏(みか)。美夏はお人形さんのような美少女だった。一般人なのにオーラがあって、美夏が歩くと皆が振り返るほどだった。治安の悪い国だったら、スグに誘拐されそうだ。そして、美夏よりは劣るがやはり美形の夏美。美夏は長い髪だが、夏美はショートカットでボーイッシュ。夏美は健康的な清々しさのある小6だった。小4から小6を見ると、小6が大人っぽく見えた。
魅力的な姉妹。水着姿が眩しい。こんな恵まれた環境だったのに、僕の心は珉に奪われていた。珉はパーフェクトボディだった。しかも若く見える。茶髪は肩の上。美人なのだがそれだけではないのだ、ムードがある! 僕は後になって、それが“女性の色気”というものだと知った。まだ“色気”という感覚がわからなかった。ただただ惹かれた。しかも青いビキニ! 珉が歩けば誰もが振り返った。
美少女姉妹とパーフェクトママ、目立って仕方が無い。その中に、不細工な僕が混ざっていた。“僕もイケメンだったら良かったのに”と思った。
で、海に来たのはいいが、夏美と美夏は僕を放ったらかしにして2人で遊んでいた。まあ、よく知らない男の子といきなり遊べと言われても無理だろう。僕も、姉妹の間に割って入っていく気にはならなかった。
「崔君、遊ぼうか?」
なんと、珉が気を遣って声をかけてくれた。勿論、遊んでもらうに決まっている。僕は思いっきり珉に甘えてみた。嫌がられるかと思ったら、
「うちは男の子がいないから、崔君が息子やったらええのに」
と、やたらかわいがってくれた。海の中で抱きついてみたら、珉は抱き締めてくれた。大きな胸に顔を埋めると心地よかった。珉は母性溢れる素敵な女性だったのだ。そう、その滲み出る母性が素敵なのだ。優しさ、柔らかさ、おおらかさ、最高の女性だと思った。旦那様が羨ましくて仕方がなかった。
僕は珉の写真を撮るのを忘れなかった。珉ばかり撮っていたら不自然なので、夏美と美夏の写真も撮った。結局、夏美も美夏も僕に興味を示さなかった。だが、それでいい。僕がひとりぼっちにならないように珉が相手をしてくれるのだから。
旅館で就寝。4人で枕を並べて寝た。美夏、夏美、僕、珉の順番で寝た。僕の隣に珉が寝ている。僕は嬉しくてなかなか眠れなかった。そっと、寝返りするフリをして珉を見つめた。珉は掛け布団を腰までずらしていた。旅館の浴衣から胸が見えそうだ。だが、見えそうで見えない。僕は見たかった。僕は母親に風呂に入れてもらったことが無かった。風呂に入れてくれたのはいつも父親だった。だから、女性の身体を見たことも触ったことも無かったのだ。だから、珉の胸を見たかった。そして直接触ってみたかった。純粋に、女性の身体に興味があったのだ。
どうやら珉はブラジャーも身に付けていないようだった。スヤスヤと眠っている。僕はソッと手を伸ばして浴衣の合わせ目に手を入れた。初めて触る女性の胸は思ったよりも触り心地が良かった。僕は純粋に感動した。まだHな感情は湧かなかった。
「崔君、触りたいの?」
急に声をかけられて、僕はビビった。思わず手を引っ込めた。
「起きてたんですか? すみませんでした、許してください」
「崔君って、かわいいのにHなんやね。大丈夫、怒ってへんで」
「そんなんじゃないんです。僕、女性の身体を見たことも触ったことも無いから」
「普通、お母さんとお風呂に入ったりするんとちゃうの?」
「僕、幼い頃はずっと風呂は親父に入れてもらってたんです。お母さんと風呂に入ったことが無いんです。だから、女性の裸とか、見たことが無いんです。それで、珉さんの身体を見たくなって、それから触りたくなって……ごめんなさい」
「崔君、この部屋、庭に小さいけど露天風呂があるから一緒に入る?」
「いいんですか?」
「私が、崔君のお母さんの代わりにお風呂に入れてあげる」
「……珉さんと一緒にお風呂に入りたいです」
「うん! ほな、入ろう」
僕は全裸の女性を初めて見た。今でこそ平均身長も高くなったが、30年以上前、当時の女性は平均身長も低かった。その時代で166センチのグラマーボディーは、もうモデル級だ。僕は見とれてしまった。女性の身体の美しさを知った。“これはもう芸術だ!”と思ったことをおぼえている。珉は僕を優しく抱きかかえてくれた。
「わかった? お母さんに抱かれるって、こういう感じなんやで」
「はい、わかりました。なんだか、すごく安心します」
僕は幸せだった。“もう、死んでもいい!”とさえ思った。
「私の身体を見て、どう思う?」
「とてもキレイです! 芸術です! 芸能人になってもおかしくないと思います。胸も大きくてキレイで……」
「一応、Fカップやからなぁ」
「Fカップ?」
「胸や、胸。胸が大きいっていうことや」
「やっぱり女性の中でも大きい方なんですね」
「そうやけど、崔君、私の写真ばっかり撮ってたやろ」
「はい、すみません」
「あの写真はどうするの?」
「僕の宝物にします」
「お父さんにもお母さんにも見せたらアカンで、私が恥ずかしいから」
「誰にも見せません」
「誰にも見せないなら、裸の写真も撮ってもらいたいかも」
「喜んで撮りますよ」
「アカンわ、そんなの写真屋で現像されるかと思ったら恥ずかしいから」
「写真屋に持って行かなくてもいいですよ」
「どうして?」
「インスタントカメラも持って来てるんです」
「その場で現像できるカメラ?」
「そうです。撮ってもいいですか?」
「うん、それなら撮ってもらおうかな」
「待っててください。カメラを撮ってきます」
「沢山撮ったね」
「撮れるだけ撮りましたから」
「この写真とこの写真は私がもらっとくわ」
「いいですけど、なんで?」
「若い時の写真を持っておきたいねん。歳をとった時、多分、若い頃が懐かしくなると思うから。崔君、その写真、絶対に誰にも見せたらアカンで。この写真のことは、2人きりの秘密やで」
「わかっています」
「崔君はかわいいなぁ、よしよし」
珉は僕を抱き締めて頭を撫でてくれた。
最高の1泊2日だった。困ったのは、それからしばらく珉のことしか考えられなくなったことだ。そして、珉の旦那様を心から羨ましく思ったのだった。
“珉さん、素敵な思い出と優しさをありがとうございました!”
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