第21話 ポーション作り

第21話 ポーション作り


 宿屋の温かい光が夕暮れの街を照らし、リディアたちはその扉を開けた。中からは賑やかな笑い声と「カチャリ、ガラン」という食器の音が聞こえてきた。彼らは昇格を祝うために、宴会を開くことに決めていた。


「さあ、今夜は盛大に祝おうじゃないか!」リディアが力強く宣言すると、エレンは笑顔で応じた。「素敵な提案ですわ。今日は思い切り楽しみましょう!」彼女の声には期待と興奮が溢れていた。


 フェンが「にゃはは!宴会だにゃ!食べ物をたくさん注文するにゃ!」とはしゃぎながら、宿屋の奥へと駆け込んでいった。「ガタンッ!」と椅子を引く音が響き、セバスも「この機会を逃す手はありませんね。皆のために最高の料理を頼みましょう」と落ち着いた声で言った。


 宿屋の主人が「おっ、今夜は何かお祝いかい?」と尋ねると、リディアは胸を張って答えた。「そうです。私たち、鉄級に昇格したんです!」宿屋の主人は「おお、それはおめでとう!」と大声で祝福し、その場の雰囲気は一層高まった。


「じゃあ、特別な料理でお祝いさせてもらうよ!」と宿屋の主人が厨房へと消えると、すぐに厨房からは「シャンシャン」「コトコト」と調理の音が活発になる。


 テーブルには次々と美味しそうな料理が運ばれてきた。「わぁ、これは豪華だ!」エレンが目を輝かせながら言うと、フェンは「にゃんと!これは食べ応えがあるにゃ!」と歓喜の声を上げた。


 料理の中心に置かれた大きな肉の塊を前に、セバスがナイフとフォークを手に取り、「では、皆さん、ご一緒に!」と言いながら切り分け始めた。「ザクッ」という音と共に、ジューシーな肉汁が溢れ出る。




 宴会が進む中、エレンはリディアの隣に座り、少し真面目な面持ちで質問を投げかけた。「でも……リディアさん? リディアさんはどうして冒険者登録の時、私たちの年齢に驚いたのかな。もしかしてそんなに意外だったのかな?」


 リディアはその質問に一瞬驚きの表情を浮かべ、「んッ!?」と声を上げる。周囲の空気は一変し、テーブルの上の食器が軽く「カチリ」と音を立てた。この瞬間、フェンとセバスもリディアの圧によって言葉を失い、「・・・」と沈黙した。


 エレンは凄腕の殺し屋のように瞬時にリディアの反応を捉え、「えっ!? え、えっとですね! それはえっと!」と言葉に詰まるリディアを見つめる。




 リディアは一瞬言葉を失い、状況を打開しようとしたが、「うん。なにかな?」とエレンは優しく、しかし確かな期待を込めて尋ねた。




「えっと! えーえっと!」リディアは必死に言葉を探るが、ついには言葉を見つけられず、代わりに無言で優しい笑顔をエレンに向けた。その笑顔は、エレンの年齢に関する質問を上手くかわす圧を含んでいて、エレンはそれに気付きながらも、リディアの意図を理解し、微笑を返した。




 そのやりとりにフェンとセバスは再び「・・・」と沈黙を破らず、ただその場の雰囲気に圧倒されていた。




 宴会の賑わいが夜遅くまで続き、笑い声と食器の音が絶え間なく響き渡る中、エレンとリディアの間で交わされた微笑みと圧のやり取りが一段落ついた後、フェンが場の雰囲気を変える提案を持ち出した。「明日は、みんなでちょっと一息入れようにゃ。どうかにゃ?たまには休むのも大事だにゃ!」と彼女が軽快に言うと、瞬間的に宴会のテンションが一新された。




 エレンは、その提案に優雅に頷き、「それは素敵な考えですわ。確かに、少しの休息で心も体もリフレッシュできますものね」と同意し、その瞬間、リディアからの無言の圧を受けたことへの緊張が和らぎ、彼女の表情も明るくなった。




 フェンの提案に賛同の声が上がり、「にゃは、それに決まりにゃ!」と彼女自身も喜びを表現する。その言葉を受けて、セバスも「全員でゆっくりと休むのは良い案です。心身のリフレッシュは、これからの冒険にも必ず役立つでしょう」と、いつもの落ち着いた口調で同意を示した。




 リディアは、フェンの提案とそれに賛同する仲間たちの姿を見て、心の中で深く感謝した。「ナイス、フェン」と心でつぶやきながら、彼女たちの提案によって、先ほどのエレンとの緊張したやりとりから完全に雰囲気が変わったことを感じ取る。この変化はリディアにとっても一息つく良い機会となり、彼らの絆をさらに強固なものへと変えていった。




 朝が明け、新しい日の始まりと共に、リディアたちは宿屋の食堂で朝食を取りながら、それぞれの日の計画を共有していた。




「本日はどのようにお過ごしになられますか?」エレンが紅茶を一口飲んだ後、リディアに尋ねる。その質問に対して、リディアはパンを口にしながら考えた。「実は、レベル上げに行く予定だ。」と、ダンジョンマスターであることを隠しつつ答えた。この時、パンをかじる「ムシャムシャ」という音が、朝の静けさに溶け込む。




 セバスが静かに声をかけた。「なるほど、それなら私は冒険で使うポーションや調味料を買いに市場に行こうと思います。何か欲しいものがあれば言ってください。」彼の計画には、日常の営みに対する丁寧さが感じられた。




 フェンは目を輝かせ、「にゃは、それじゃあ私とエレン様は、武器を見に行くにゃ!」と提案した。エレンも彼女の提案に興味を示し、「それは良いアイデアですわ。新しい武器を見るのはいつもわくわくしますものね」と優雅に同意した。




 リディアはみんなの計画を聞きながら、内心で自分のダンジョンへの帰還を思い描いていた。朝食が終わると、「それじゃあ、行ってくる」と軽く告げ、「ダンジョンウォーク」と呪文を唱えた。「ズゥウウン」という低い響きとともに、彼の姿は朝の光の中に溶けていった。




 リディアがダンジョンに戻ると、リリィが「おはようなの、リディア様!」という明るい声で出迎えてくれた。彼女の跳ねるような歩みが「ピョンピョン」と楽し気な音を立てる。周りを見渡し、他のメンバーが見当たらないことに気付いたリディアは、リリィに尋ねた。「リリィ。みんなはどこに行ったんだ?」




 リリィは「みんな、リディア様が前に話していた街づくりをしてるの!」と答え、その言葉にリディアは「それは良かった。見に行こうか。」と嬉しそうに応じた。




 ダンジョンを出ると、開拓された土地が目に飛び込んできた。ドライアドたちが「サラサラ」と葉を揺らしながら、スケルトンやフィールモグラと共に畑作りに励んでいる。その一方で、ゴーレムやアイスジャイアントが重い足音を立てながら石の道を作り上げていた。さらに、オークやダークスパイダーたちが道具を使い、バルドの指示の下で家づくりに取り組んでいる光景が広がっていた。




 リディアは、それぞれのグループに近づき、「よくやっている。これからも頑張ろう!」とねぎらいの言葉をかけた。彼らからは「ありがとうございます、リディア様!」や「はい、頑張ります!」といった声が返ってきた。




 その後、リディアは錬金術を学ぶためにロゼッタを探し始めた。「ロゼッタはどこにいるんだろう…」とつぶやきながら歩いていると、薬草や原料を仕分けする音が聞こえてきた。その方向に進むと、ロゼッタとフィオナが一緒になって、薬の原料になりそうなものの仕分けをしていた。




 リディアがロゼッタとフィオナのもとに近づくと、フィオナが突然彼に気付き、息を切らせながら「はぁ。はぁ。はぁ。リディア様〜。血、血をくださいませ〜」と目を輝かせて近づいてきた。その姿は、普段の彼女の美しさとはかけ離れたもので、一種異様な雰囲気を放っていた。




 その様子を見たロゼッタは即座にフィオナの頭を軽くはたき、「フィオナ!!」と厳しい声で叱った。「スパン!」という軽い音が二人の間に響く。




 フィオナが「シュン」としてしまったのを見て、リディアはどこかで彼女の気持ちを理解しているようで、少し気の毒に思った。そこで、彼は人差し指に軽く歯を立て、一滴の血を出した。「フィオナ、ほれ!」と言いながら、その指をフィオナに差し出す。




 フィオナは「はぁ。はぁ。」と息を荒くして、リディアの指をくわえた。「スルッ」という音とともに、彼女の舌が軽く指をなめる。その動作は、意外と優雅で、どこかエロチックな雰囲気を醸し出していた。




 この光景に、リディアは内心で微笑んだが、同時に「めちゃくちゃ幸せなフィオナを見ると和むけど、これは美女がする行動じゃないな…」と思った。まったく、シャドーといいフィオナといい、ヴァンパイアは血が好きだなぁ。フィオナのあまりの満足げな様子に、その場の緊張感は一気に和らぎ、リディアもロゼッタも、ついつい笑みを浮かべてしまう。




 ロゼッタは「フィオナ!!リディア様には感謝しなさい」と言いつつも、彼女の幸せそうな表情を見ていると、どうしても厳しく言い続けることができずにいた。フィオナがリディアの指から口を離し、「ありがとうございます、リディア様…」と恍惚とした表情で呟くと、リディアは「うん、でも、これは特別だからな」と優しく注意した。




 リディアはポーション作りの知識を深めたいと考え、ロゼッタに学ぶことにした。まずは必要な道具を揃えるため、リリィとロゼッタと共にダンジョンへと向かうことに。フィオナは道具の整理をするためにその場に残るが、リディアとの別れが名残惜しそうに見えた。「リディア様、お気をつけて…」と彼女は小さな声で呟き、リディアは優しい微笑みを返してから出発した。




 ダンジョンに到着すると、リディアは「DP交換」を使用し、ポーション作りに必要な道具一式を召喚した。道具が「フワッ」と現れる様子は、まるで魔法のようだった。ロゼッタはその様子を見て、「さすがリディア様、準備が迅速ですわ」と感心する。




 準備が整ったので、ロゼッタはポーションの作り方を教え始めた。「まずは、この薬草とこの液体を混ぜ合わせるのです。そして、魔力を込めて…」と彼女が説明すると、混ざった液体は次第に輝きを増し、「シュワシュワ」という音を立てながらビンの中で反応し始めた。不思議なことに、ポーションが完成すると同時にビンも形成される。その光景に、リディアも「これは面白い」と興奮を隠せなかった。




 ロゼッタの指導の下、リディアもポーション作りに挑戦。「さあ、リディア様もやってみてください」とロゼッタが促すと、リディアは教わった通りに材料を混ぜ、集中して魔力を込めた。すると、彼の作ったポーションも見事に成功し、完成したポーションが輝く。リディアは一発で成功したことに自分自身も驚き、「これは才能があるかもしれない」と笑った。




 リディアのポーション作りの進捗に、リリィ、サクラ、ルークが喜びを示した。リリィは彼の成功に「おめでとうなの!」という言葉と共に跳ねるような動きで喜びを表現し、「ピョンピョン」と跳ねる音が聞こえた。サクラは「ジュラ~、ジュラ~」とその独特のバジリスクの鳴き声でリディアを労ったが、その声には明らかな歓びが含まれていた。ルークは彼の幸せそうな表情を見て、「おめでと~」とブルブル全身を震わせながら喜んだ。




 しかし、リディアの探究心はそこで止まらず、彼はポーションに更なる魔力を混ぜ込む実験を試みた。その結果、ポーションは「パンッ」という音を立てて割れてしまい、リディアは混乱した。「なぜだろう?」と自問自答し、「スキルのランクに影響があるのかもしれない。錬金術が初級だから、まずは上級にしよう」と考えた。




 そして、手元にある薬草を全て使ってポーション作りに取り組む。数多くの試作の結果、約5回に1回の割合で中級のポーションが完成し始めた。これにより、リディアは100回の試作を経て、錬金術のスキルを中級に引き上げることができた。「やったね!」と喜ぶリディアの声に、リリィは「リディア、すごい進歩なの!」と褒め称え、サクラは再び「ジュラ~」と鳴いて彼の成果を祝った。ルークも、変化する形で「おめでと~」とブルブル体を震わせ、喜びを共有した。




 主人公のステータス

 レベル:189(UP)

 名前:リディア

 種族: ダンジョンマスター(48歳)

 エルフ

 性別: 男

 魔法:

 火魔法 レベル9(UP)

 水魔法 王級7(UP) 

 風魔法 王級6(UP) 

 土魔法 帝級1(UP) 

 光魔法 王級7(UP)

 闇魔法 王級9(UP)

 時空魔法 王級9(UP)

 スキル:

 ユニークスキル「AI」 

 ユニークスキル「アイテムボックス」

 ユニークスキル「DPダンジョンポイント交換」

 錬金 中級(UP)

 魔力操作 上級(UP)

 身体強化 上級(UP)

 麻痺無効

 猛毒無効

 痛覚無効

 魅惑無効

 石化無効

 剣 レベル9

 テイム:

 バジリスク(サクラ)

 称号:

 世界を超えたもの(言語理解、隠蔽、鑑定) 

 ドラゴンスレイヤー(NEW)※対ドラゴン戦においてステータス1.5倍

 ダンジョンを制覇した者(NEW)※ダンジョン内ステータス5倍

 ダンジョンマスター(NEW)※ダンジョン内ステータス5倍

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