第19話 ガチャ
第19話 ガチャ
エスガルドの「夕暮れの宿」で、柔らかな灯りが二人の夕食を照らしていた。リディアとエレンは、その日の冒険者登録の疲れを癒やすため、ゆったりとした時間を過ごしながら食事を楽しんでいた。
オークの肉がふんだんに使われたビーフシチューを味わったリディアは、喜びを隠せずにいた。「これは…信じられないほど美味しい!」と彼は驚きを声に出した。彼にとって、塩やハーブでただ焼いた肉や川魚以外を食べるごはんは久々のことだった。そして、ふと「この世界にお米は存在するのだろうか?」という疑問が頭をよぎる。
リディアはエレンに向かって、「エレン、パン以外にも、お米と呼ばれる小さな白い粒から作られる食べ物について聞いたことはあるかい?」と尋ねると、パンの中身をちぎって、お米を想像させるように示した。
エレンは静かに答えた。「いいえ、帝国ではそのような食べ物にはお目にかかったことがありませんね。私たちの主食はパンでしたから。」
「なるほど、お米を栽培するには豊富な水が必要だから、ここでは難しいのかもしれないな。でも、探すのを急ぐことはないさ」とリディアは考えを巡らせながら言った。
夕食後のひととき、リディア、エレン、フェン、そしてセバスは翌日の計画について話し合っていた。宿の暖かい光の下で、冒険者としての新たな一歩を踏み出す決意を固める。
「明日の朝食後、冒険者ギルドに行ってみよう。」リディアが提案すると、他の三人も頷いた。銅級になれば、彼らがこれまで集めた爪や毛皮をギルドで売り、宿屋の代金に充てることができる。それは、彼らにとって冒険者としての一つの成果であり、生活を支える基盤となる。
エレンが静かに言葉を続ける。「それに、リディア様が錬金術の基礎をお持ちであれば、私たちのためにも、販売して収入を得る目的でも、ポーション作りに挑戦してみてはいかがでしょうか?」
リディアは考え込んでから笑った。「いいアイデアだ。回復薬は冒険者にとって必需品だからな。自分たちで作れれば、かなりの節約にもなるし、余裕があれば他の冒険者にも売れるかもしれない。」
フェンがにこにこしながら言った。「にゃー、リディアの作るポーションなら、きっと特別な効果があるに違いないにゃ!」
セバスも静かにうなずき、「それぞれのスキルを生かして、この旅をより良いものにしていこう。錬金術も、戦闘の際に大いに役立つだろう。」と支持を示した。
計画を立てながら、四人は互いの能力を最大限に生かし、冒険者として成長していく道を模索していた。リディアの錬金術、エレンの知識、フェンの機敏さ、セバスの戦術…それぞれが持つ力を組み合わせて、未来への期待を膨らませる。
朝日が昇り、エスガルドの街は新たな一日を迎えていた。リディアたちは、冒険者ギルドに到着すると、昨日よりも多くの人々が活動しているのを見て驚いた。彼らも早速、見習いレベルで受けられる依頼を探し、掲示板の前で足を止めた。
「ここに薬草取りとゴブリン退治があるよ」とリディアが指を差し、エレンが肩越しに覗き込んだ。「両方とも受けてみましょうか?」エレンの提案に、フェンとセバスもうなずいた。
リディアたちが薬草を集め終えた後、彼らの次なる目的地、ゴブリン退治の場所へと足を運んだ。
ゴブリンの退治地に到着したリディアたちは、準備を整える間もなく、リディアが魔法弾を一発放った。音速を超えるその弾丸はゴブリンに直撃し、相手はあえなく倒れた。リディアは、一瞬の出来事に目を丸くしながらも、軽く笑って言った。「こんなに弱いなんて、目をつぶっても当たるレベルだよ。」
エレンは、リディアのジョークに苦笑いを浮かべて、「そうですわね、リディアさんが圧倒的に強すぎるのかもしれませんね」と応じる。セバスは、戦利品を回収しながら、「ゴブリンも大変ですね、こんなに一瞬で終わってしまっては」と加わった。
その時、フェンがニヤリとして、「リディアはゴブリンスレイヤーにゃ!」とからかいながら言い、全員で笑いあった。リディアの冗談とフェンのツッコミによって、ゴブリン退治が予想外の軽い気持ちで終わり、彼らの間には笑いが広がった。
ギルドへ到着し大きな扉を押し開けて、リディアたちは疲れながらも達成感を胸に報酬を受け取るためのカウンターに向かった。彼らが持ち帰ったゴブリンの耳と薬草を受付の職員に渡すと、その職員は品物を丁寧に確認し始めた。
「さて、こちらが四人の報酬になります。薬草の収集に銀貨5枚、そしてゴブリン退治には30枚ですね」と受付の職員が報酬をカウンターの上に並べる。リディアは、その報酬を眺めながら、ふと考え込む。
「薬草で銀貨5枚、ゴブリン退治で30枚か…」リディアが報酬を眺めながらつぶやくと、セバスが肩を叩いて励ました。「初めての依頼としては上出来だ。これからだ」
しかし、リディアの心には軽い落胆があった。モンターニャの森で手に入れた魔石の価値を思い出すと、「あの魔石の価値は計り知れないな…当分は、手放さない方が良さそうだ」と心に決めた。
夕方、宿に戻る道すがら、エレンがリディアの横顔を見て言った。「今日は本当によく頑張りましたわね。リディア様のおかげで、すべてうまくいきました」リディアは彼女の言葉に微笑んだ。
夕食までのわずかな時間を利用して、リディアは自分のダンジョンへ戻ることにした。「ダンジョンウォーク」と魔法を唱えると同時に、「ブゥーン」という低く響く効果音と共に、魔法が発動。一瞬のうちに、彼はダンジョンの心臓部へと運ばれた。
到着するや否や、リリィが「お帰りなさいなの、リディア様!」という明るい声で出迎えた。シャドーも続けて「リディア様、ご無事でお戻りになられて、ほんまに良かったどす。皆、お待ちしとりました。」と迎え入れる。
リディアはルミナに向かって、「ルミナ、お風呂の準備をお願い!」と頼んだ。ルミナは、「もちろんでありんす、リディア様。ただちに準備いたしんす。」と応じ、柔らかな光に包まれながら準備を始めた。その間、水を張る音が「じゃばじゃば」と響き渡る。
その後、リリィとシャドーに最近の修行の成果を報告してもらい、リディアは彼らの進歩に「ふむ、なるほどな」と頷きながら聞き入れた。会話は自然とリディアのこれからの計画へと移り、彼は魔石を祭壇に捧げることを提案。「エンシャントドワーフを召喚するんだ。錬金術と武器製造に欠かせない存在だからな」と説明し、「ブゥン」という神秘的な効果音と共に召喚の儀式を開始した。リリィとシャドーも「それは素晴らしい案ですの~」と賛成し、召喚の光が「キラキラ」と輝く中、エンシャントドワーフが現れた。
また、ガチャ実施。上空が青白く輝き始めて、光の玉がくるくると旋回する。
いつ見ても興奮するぜ。
50連の結果
ウィスプ×4(迷い人を導く、または惑わす光の精霊)
ゴーレム×2(ファンタジーの定番。3mほど)
シルバーウルフ×3(月光に輝く、神秘的な狼)
ドラゴン(定番のドラゴン)
ダークスパイダ(闇から生まれた蜘蛛)
ネクロシャドウ(死者の影から生まれ、暗闇で強力になる幽霊)
フィールモグラ(土を掘り進めるスコップを持ったモグラ)
アイスジャイアント(氷と雪の国から来た巨人)
スケルトン×3(呪いによって動く骨の魔物)
インプ×3(小悪魔。いたずら好きで、魔法を少々使うことができる)
ハーピー×4(上半身が女性で、下半身が鳥の怪物。美しい歌声で人を惑わす)
ドライアド×5(木に宿る精霊。森を守る存在として知られる)
ミミック×5(宝箱や家具に擬態するモンスター)
スライム×6(形を変えることができる粘液状の生き物)
グール×3(死肉を食べる不死の生き物)
オーク×3(ファンタジー定番)
□ハイエルフ(エルフの上位)
□エンシャントドラゴン(古代の知識や秘術を保持しており、強大な力を持つ)
□エンシャントヴァンパイア(古代の知識や秘術を保持しており、強大な力を持つ)
□ゴットスライム(全ての元素を自在に操ることができます。火、水、風、土、さらには光や闇の元素まで、その支配は絶対的)
エンシャントドワーフ(バルド)
ハイエルフ(ロゼッタ)
エンシャントドラゴン(セリーナ)
エンシャントヴァンパイア(フィオナ)
ゴットスライム(ルーク)
お風呂に入る前のひととき、リディアはダンジョンの第5階層へ全ての仲間たちを集めるように指示を出した。入浴後、集まった仲間の前に立ち、リディアは新たな計画を告げた。彼の声には強い決意が込められており、その言葉は直接、仲間たちの心に響いた。「今から始めるプロジェクトは、ダンジョンの外に新しい町を建設することだ。」
彼はエンシャントドワーフのバルドに向き直り、「バルド、こちらへ」と呼び寄せた。バルドが前に進み出ると、リディアは彼に目を向け、全身から意志を発して語りかけた。「この重要なプロジェクトを、バルドに任せたい。サポートは、ロゼッタに任せる。私たち全員で力を合わせ、快適に暮らせる街を築き上げてほしい。」リディアの言葉は、新たな未来への希望とビジョンを示していた。
続けて、リディアは手のひらから微かな光を放ちながら、理想の街のイメージをバルドへと送信した。「急ぐ必要はない。じっくりと、私たちが心から満足できる場所を作り上げてくれ。」リディアから送られた思念は光となってバルドの心へと届けられた。
バルドはその責任を受けて立ち、「リディア様、ご期待に応えるべく、理想の街を現実のものに変えます。どんな障害があっても、私たちはそれを乗り越え、良い街を完成させます」と力強く答えた。
「おぉ〜」という掛け声が全員から上がり、一同はリディアの計画に賛同した。
リディアは新たな計画をバルドとロゼッタの手に委ねた後、ふと足を止め、夕日に思いを馳せた。「さて、彼らに任せたし、今は宿屋に戻る時間だな。」彼は心の中でつぶやき、宿屋への帰路を思い描いた。
その瞬間、リディアはゴットスライム、全ての属性魔法を操ることができる、仲間を思い出した。「ルーク、お前も一緒に来るか?」リディアが声に出して呼びかけると、ゴットスライムは快くその提案を受け入れた。
しかし、普通の姿で街を歩くわけにはいかない。リディアは一計を案じた。「お前の力なら、小さな擬態も造作もないだろう? 左手のリングに姿を変えて、そうして一緒に行こう。」彼の言葉に応じ、ゴットスライムは微かに光を放ちながら、見事にリングの形に変身した。その変身は「シュゥ」という軽やかな音を伴い、あっという間に完了した。
リディアは慎重に、新たに変身したリングを左手の指にはめた。リングからはゴットスライム特有の温かみが感じられ、リディアはその存在を隣に感じながら安心した。
「さあ、行こうか。」リディアは風を感じながら、夕焼け下、宿屋へと歩き始めた。彼の足取りは軽やかで、心は新しいプロジェクトとこれからの冒険に満ちていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます