第5話 レベルアップ

第5話 レベルアップ




 さて、狩りを始めますか。




 先ほどの巨木を討伐した際の騒音が、周囲の生き物たちを遠ざけたのか、どれだけ注意を払っても周りには何の気配も感じられない。


 残念ながら、気配を察知するような特別な能力は持ち合わせていないのだ。




 仮設拠点となる巨木を見失うわけにはいかない。


 そこで、進むにつれて、道標となるよう木々に印をつけていくことにした。


 これなら、道に迷うことはないだろう。




 ないよね(汗)




 少し歩くと、なんとなく周囲の空気が重たい。


 何か不吉な気配が漂っているといったほうが良いか。


 そんな感じがした。


 油断して死んでしまわないように身体強化を唱えておく。




 すると、突然、草木が激しく揺れた。




『ブルーベア』




 青い熊だった。


 それも巨大な熊。体長は3メートルを軽く超える。




 恐怖を感じつつも、恐れてばかりはいられない。


 攻撃は最大の防御だ。




 心を落ち着け、風魔法を纏わせた拳を力いっぱい振り抜いた。


 風の加護を受けた一撃は、音速を超える衝撃波を発生させ、空気を裂きながらブルーベアに向かって飛んでいった。


 しかし、その巨大な身体とは裏腹に、ブルーベアは驚異的な敏捷性を見せ、一瞬のうちに身をかわし、攻撃を避けた。




「ちっ、これではまだ足りないか・・・」




 わずかに額に傷を負ったブルーベアから血が滲むが、私の攻撃は決定的なダメージには至らなかった。


 しかし、すでに次の一手を準備していた。


 ブルーベアがこちらへの反撃を試みるその刹那、私は土と水の魔法を組み合わせ、地面を柔らかな沼地へと変貌させる「スタンプ」を放った。


 ブルーベアの足元が突如として不安定になり、その巨体がバランスを崩す。




 ブルーベアが体勢を立て直そうと、もがく間に私は再び風魔法を準備。


 今度は沼地に足を取られたブルーベアの動きが鈍った隙を突き、全力で衝撃波を放った。


 この2回目の攻撃は直撃し、ブルーベアには致命的なダメージを与えた。


 足場が不安定で十分な防御ができなかった熊は、その巨大な身体を重く地面に落とした。




 倒れたブルーベアを前に、森は一瞬の静けさに包まれた。


 風魔法での初撃、地面を沼に変える魔法での足場崩し、そして最後の致命的な衝撃波。


 これらの戦術を駆使して、私はついに強大な敵を打ち倒したのだ。


 この勝利は、これからの旅において自信となり、さらなる強敵に立ち向かう勇気を与えてくれるだろう。






『▼経験値が一定量に達しました。レベルアップします。』




 ん?


 んん?


 リディアは戸惑いながらも、体中に広がる温かさを感じていた。




『▼各種基本能力が向上しました。』




「ちょ、ちょっと待って・・・。これって、もしかして・・・。」


 驚きと期待で震えた。




「ノエル、今、私……レベルアップした?」


 リディアが問いかけると、ノエルの声が心の中で優しく響いた。




『はい、マスター。今の戦いで確かにレベルアップしました。』




『そのブルーベアは非常に強力な魔物でした。その結果、経験値が大幅に上昇し、各種基本能力が向上したのです。』




 リディアは一瞬、言葉を失った。


 彼の心は喜びと驚きで溢れかえっていた。


 これまでの苦労と努力が、ついに形となって現れたのだ。


 自分の中に新たな力が宿ったことを実感すると、思わず笑みを浮かべた。




「本当に・・・強くなれたんだ!」


 リディアは空に向かって両手を広げ、大きく深呼吸をした。


 新たな力に満ち溢れたその瞬間、リディアはこれからの冒険に対する無限の可能性を感じていた。




「ノエル、これからもっと強くなって、もっと多くの魔物に挑んでいく。冒険は、これからが本当のスタートだ!」




『マスター、アイテムボックスへの即時収納を推奨します。』




「あ、そうだね。じゃあ、アイテムボックスに収納しようかな。」




 リディアの言葉に合わせて、ブルーベアの巨大な身体は光に包まれ、見る見るうちにアイテムボックスへと吸い込まれていった。


 アイテムボックス本当に優秀


 その光景に目を輝かせながら、ノエルへの感謝を忘れなかった。




『マスター。アイテムボックスに収納された魔物の解体は私が担当しますね。』


「ノエル、本当にありがとう。こんなに便利な機能があるなんて、夢みたいだよ。」




 リディアの心からの感謝の言葉に、ノエルは「任せてください、マスター」と心の中で返答した。


 アイテムボックスの中では、ノエルが魔物の解体を自動で行う。この便利さに、リディアは再び心からの感謝を感じていた。




「ノエル、本当に頼りになるね!」




 リディアはしばしの間、レベルアップによる成長と、ノエルのサポートによる安心感を噛みしめながら、森の中で一息ついた。


 リディアの心は冒険への期待でふくらみ、RPGのようなこの世界での生活がますます楽しみになっていった。




「このゲームみたいな世界での冒険、本当にワクワクするよね。RPG好きの私にとって、これ以上の喜びはないよ。」




 ガンガンレベル上げていこ。




 主人公のステータス


 レベル: 10(UP)


 名前:リディア


 種族: エルフ(48歳)


 性別: 男


 魔法:


 火魔法 レベル1


 水魔法 レベル5 


 風魔法 レベル9 


 土魔法 レベル6 


 光魔法 レベル9


 スキル:


 ユニークスキル「AI」 


 ユニークスキル「アイテムボックス」 


 錬金 初級


 魔力操作 初級(NEW)


 身体強化


 麻痺無効


 称号:


 世界を超えたもの(言語理解、隠蔽、鑑定)

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