第14話
彰吾は、封筒の住所を目指した。
今まで降り立った記憶のない駅だったが、綺麗に区画整理されたその町は、とてもわかりやすかった。
自信もついて来たので躊躇なくインターフォンを鳴らす。
「薬利彰吾と申します。猫神様の件で伺いました。」
「はい。お待ちしておりました。伺っております。」
声の感じから想像するより、いくらか若く見える女性が現れた。
封筒の中にあった名前は男性だったので、お手伝いさんなのだろう。
廊下を何度か曲がり、彰吾は立派な部屋に通された。
「山科陸郎さんはいらっしゃいますか。」
念の為、その女性に確認をした。
「旦那様は、まもなく参ります。今しばらくお待ち下さいませ。」
紅茶を出し、彼女はそう言った。
立派な調度品や絵画などを眺めながら紅茶を飲んでいると、大柄な男性が部屋に入って来た。
椅子に座ると同時に話し出す。
「どうも、山科です。猫が昨日見えまして、話したんです。」「いや、話すは正しくないな。言葉が頭に入って来ました。」
「でも、夢でも見たかと仕事に行きました。まさか誰かが家に来るとは…驚きました。」
「車で5分の会社ですが、お待たせして申し訳ない。」
「いえ、大丈夫です。」
「薬利彰吾と申します。猫神様のお導きで参りました。」
「″明日、訪れし者に心を打ち明けよ″と、猫に言われたのだが、何も思う所はないんだが…。」
「そうですか?でもこちらの住所とあなたのお名前でした。明日の夕方、猫神様がお出ましになるはずです。明日の夕方前にまた参ります。」
そう言うと彰吾は立ち上がった。
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