第7話

彰吾は、風呂に入り丁寧に体を清めた。

そして父親に手伝ってもらい装束に着替える。


「自分で着られるようになりたいな。」

彰吾はそう小さくつぶやく。


そのつぶやきを聞きもらさず、

「僕も最初は、父親に着付けてもらったものだよ。

最初に見た光景は、未だに忘れられない。これからも忘れないと思う。

猫神様がお選びになった方は、特に強い気持ちをお持ちの方だから、しっかり見届けてきなさい。」

一層穏やかな顔で父親は言った。


こうやって繋がっていくんだな。

いつか父親と経験した事を話せたらいい。

そして僕も子供に引き継ぐんだ。


知らずに早足になっていたのか、約束の時間より早く着いたかもしれない。

彰吾が呼び鈴を押すと、それにも関わらず、すぐに紗季さんが女性と連れ立って出てきて、僕に声を掛けた。


「見違えますね。素敵です。」

「こちらは母です。本日はよろしくお願いします。」

「紗由利です。どうぞよろしくお願いします。」


「私からは、ただひとつ。この事は他言無用です。」



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