第4話

「あの猫神様は、変わらずお美しいですね。二度もお会い出来るとは、感無量です。」


儀式を終え、直会の席でやっと柔らかい表情になった神主さんは、そう言った。


神主さんは、父親と同じ歳だ。

神主さんの家にも、薬利家との掟が代々受け継がれているそうだ。僕の父親の誕生日に自分の父親とともに薬利家を訪れ儀式に参列したという。


神主さんには、あいにく男の子が生まれず、娘婿に掟が引き継がれる予定だそうだ。


「本当にそうですね。無事にお迎え出来て安心しました。ありがとうございました。」父親も上機嫌だ。



和室でまた父親と二人きりとなった。

向かい合う二人の間には、猫神様の置いていった白い封筒がある。


「彰吾、封筒を開けてみなさい。」


「はい。」「住所と名前が書いてあります。」


「では、明日、その住所を訪ねてみなさい。心配はいらない。猫神様のお導きがある。」


「彰吾、これから伝える事は、一子相伝だ。

書き留めてはいけない。

お前も伝えるべき人に口伝えする事だからよく聞いて欲しい。


15歳の誕生日から能力が開花する。

18歳の誕生日以降は、十六夜いざよいの日に

気を付けなさい。選ばれた十六夜いざよいの日に猫神様はお出ましになる。

猫神様がお出ましになった場合は、その二日後の居待月いまちづきの日。その日の夕方に、呼ばれた場所で起きる事を見届ける。それが薬利家の役目となる。」


自分の部屋に戻った彰吾は、ベッドに寝そべった。

月について調べてみようと思いながらも、疲れていたらしく、いつの間にか寝てしまっていた。



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