第6話 少女達の思惑
「
「ミムは仕事が早いねぇ。どれ、確認するから」
バルサード家にお世話になって数日。あたしは婆やさんに教わり使用人の仕事をこなしていた。
「よし、OK。じゃあ、次は洗濯物が溜まっているからそれお願い」
「わかりました――婆やさん、一つお願いがあるのですが」
「ん? どうしたんだいミム」
「着替えがもう少しあると嬉しいんですが、どこかに余っている服はありますか?」
「あるよ。詰め所の奥の方にいくつか置いてあるから必要な分だけね。それと下着は置いていないから」
「わかりました」
困ったなぁ。下着が一番欲しいのだけど、これからレイユ様と一緒に旅をするのに、レイユ様に下着のことを言うのは恥ずかしい。って、もしかして二人きりなの? そうしたらあたしはお世話係だから、あんなことやこんなこと、夜のお世話が……。えっ、えっ、でもレイユ様は誠実で優しいし、顔もちょっとタイプ。これはある意味距離を縮めるチャンスなのかも。でもあたし、殿方を喜ばせるテクニックは知らないからなぁ――、
「よし! 頑張って覚えるぞ!」
「ん? 頑張って覚えるって何を?」
「あっ。(ぷしゅー)」
◇◆◇◆
「お嬢様。手紙が届いております」
「ありがとう(誰からだろう?)」
うちは使用人から手紙を受け取る。バルサード家の封蝋からレイユ君からだとわかり、自室に戻って中を確認した。
えっ。「いろいろなことを学ぶため、世界各国を巡る旅に出る」って何。どういうこと? 王国内の学園に編入しないの? もしかすると旅先に住みついて戻ってこないんじゃ――。
『テレトワの人生はテレトワのものなんだから』
レイユ君の言葉が頭の中で鳴り響く。もう会えないなんてイヤだ。家のこと、婚約、学園での勉強――何がうちにとって大事なことなのか。そんなの決まっている。一番大事なのはレイユ君。国賊の疑いがかけられているのなら、一緒に逃げればいい。あっ、これって駆け落ちじゃん! よし! そうと決まれば旅の準備だ。
「ふふふ、待っていてねレイユ君。うち、あなたについて行きますから」
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