第4話 マリシャス(malicious)

「ああ! ムカつく!」


 俺は自室にある椅子を蹴る。先週、学園の実技の授業でガリ勉伯爵にめちゃくちゃ恥をかかされたことを思い出していた。


「ガリ勉のくせに勉強だけしてればいいんだよ! まあ、いいや。アイツはこれから退学になる。そうだ、アイツの婚約者はテレーザだったな。あんな可愛い女、アイツには勿体ない、俺がおいしくいただくとするか」


 首席のガリ勉を学園から追い出す。これで俺が今まで以上に大きな顔をすることできる。婚約者も奪われたら、アイツはどんな顔をするだろうか。楽しみだな。


「殿下、ご報告に参りました」

「おう、ご苦労。それでガリ勉の件については上手くいったか?」

「はい。学園の理事長に伝え、退学の手続きが取られるかと」

「そうか」

「国内の学園の編入学に関しても、編入できないよう手筈てはずを整えています」

「よろしい。あとでこの件で動いているヤツに褒美をくれてやる。何人だ?」

「はっ。私と――――」


 いいぞ。アイツから奪えるものは奪ってやる。いつ、テレーザを呼び出すかな。どうやって説得するかも考えなければな。ククッ、ガリ勉、楽しみにしていろよ。

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