ブレンダ伯爵の居城へ

 拐われた村人達を助けられなかったルシアス達は無言のまま村へと戻って老人の家へと入っていった。


 老人は出迎えるとルシアス達が拐われた村人達を連れて来てない事に気づいて無事なのは村に残っているのは自分達だけということ察した。

 

 「すみません、俺達は村の人達を助ける事が出来ませんでした。」


 「やはりそうでしたか、、、、、。」


 無言になるルシアス達に老人が口を開いた。


 「協力してくれてありがとうございました皆さん。死んでしまった村人達の事は苦しい思いですが、皆さんのお力添えなければこの村に残された住人全員が死んでいたかもしれませぬ」


 「貴方達ははこれからどうするの?」


 「残された村人と共にこの村ですごしていきます。」


 「そんな!子供とお年寄りしかいないんだよ?!」


 「今の王国の情勢から私達には恐らく何処へも行く場所はないでしょう、、、。」


 その言葉をきいていたマナが口を開く


 「男の子が使いに来た街にシェイダル教の神殿はありますか?」


 「あるわよ」


 セシルがマナの疑問に応えるとマナは街の神殿に移るという案をだしたが残された村人達が街の中に入れるかが問題だった、頭を悩ませていたルシアス達にセシルが

街の領主に頼んで入れてもらえるように説得すると言った。


 その言葉は聞いたルヴェーラはエマール王国の貴族とアルムガルド帝国の騎士であるセシルがどのような関係にあるのか気になっていた。


 セシルもマナのようなシェイダル教団の司祭や魔法使いであるルヴェーラ達が何故あの街に来ていたのか気になりだしていた。


 マナの提案通り老人は残された村人達を集めて街に行くよう促した。


 アルルは両親達が二度と帰ってこない事をきいて泣き出した、そんなアルルをマナは泣きやむまで優しく抱きしめた。


 泣きつかれて眠ったアルルや老人達を牛車に乗せてルシアス達は街へと護衛しながら向かった。


 街の入口に着くと兵士達が村人達を連れてきた事情をセシルにきいた、セシルは兵士達に事情を話すと領主の許可がなければ入れる事はできないと兵士達はセシルに伝えた。


 セシルは話を聞くと領主に直接話すと言って街の中へと兵士の一人に案内されて入っていった。

  

 残されたルシアス達や村人達はセシルの帰りを待った、セシルが街に入ってから 

ルシアス達は小声でセシルについて話していた。


 「セシルさん、アルムガルド帝国の騎士みたいだけどいい人だね。」


 「ああ、だけど俺達の素性を話したら何ていうだろうな?」


 「アルムガルド帝国はセレディア王国とレイノルズ王国そしてラーナドゥール王国の連合軍に大敗してから目立った動きはありませんでしたがセシルさんがエマール王国にいる理由が気になりますね。」


 「アルムガルド帝国とエマール王国は手を結ぶのでしょうか?何のために?」


 ラルフが最後にそう言うとセシルと兵士が戻ってきて村人達に中に入るように言った。


 村人達は兵士に礼を言って中に入っていく兵士の一人がシェイダル教団の神殿まで案内してくれた。


 シェイダル教団の神殿につくとアルルや老人、村人達はルシアス達に感謝して別れを告げた。


 街の中央まで来るとセシルがルシアス達に言った。


 「私達もここでお別れね、貴方達のお陰で助けられた命もあったわ。ありがとう。」

 

 「そうですか。セシルさんはこれからどうするんですか?」


 「あまり詳しくはいえないけれど西の街までいくわ。」


 「私達も同行させて頂けませんか?」


 ルヴェーラの一言にセシルやルシアス達も驚く、セシルはルヴェーラに訪ねた。


 「そうね、それならまず貴方達の素性をあかしてくれる?」


 ルシアス達はルヴェーラを除いてその一言に内心焦った、もしラーナドゥール王国の使いである事をセシルが伝えたら自分達は囚われてしまうかもしれない。


 そんなルシアス達の不安をよそにルヴェーラは正直に自分達がラーナドゥール王国の者で、エマール王国の内情を調べに来たこと、そして正当なる前王エイベルを暗殺したアルバートとカミラを探しにきた事をセシルに告げた


 「よかったわ。敵ではないようね。私の目的はまだ詳しくはいえないけれど貴方達が望むなら西の街まで一緒に来てもらって構わないわ。ただ危険かもしれないわよ?」


 「ラーナドゥール王国を出てから覚悟はしてます、セシルさん。」


 「そう、とはいえ今日もう遅いし出発は明日にしようとおもうけど、どう?」


 「そうしよう!」


 アルマがそう言うとルシアス達は街の宿屋に向かってその日はやすんだ。


 その日の夜ルシアスは助けられなかった人達の事を思い出していた。

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