死霊術師

 街の出入り口に来ると兵士達が立っていた、兵士達はセシルの姿を見ると声をかけてきた。 


 「これは、セシル様。街の外に用事が?」

 

 「ええ、少し剣の鍛錬に魔物達の相手をしようとね。」


 「この者達は?」


 「私の知り合いよ。通してくれる?」  

 

 「そうですか、セシル様の剣の腕の評判は聞いていますが、この街の近くの魔物達は集団で行動してるようなのでお気をつけて。」

 

 兵士達にバレることなくエマール王国東の街から出たルシアス達はセシルと少年と共に街の近くにある村を目指した。


 道中、帝国の騎士であるセシルが何故エマール王国に来ているのかルヴェーラは考えていた、そして自分達がラーナドゥール王国の者と知ればセシルはどう反応するのかも。


 しばらく歩いていくと少年の村が見えてきた。

  

「こっちだよ!お姉さん達!」


 少年は村へと走っていく。セシルとルシアス達は少年に続いた。


 誰一人外にいない村の中を少年は一番大きな家に行き扉を叩いた。

 

 「おじいちゃん!助けてくれる人を連れて来たよ!!」


 家の扉が開くと中から年を取った男性が顔を出して少年とセシル達を見つめた。


 「アルルよ、よく戻った、皆様方どうぞ中へ」


 ルシアス達は中に入ると大きなテーブルのある部屋まで案内された。


 「良く来てくださいました、皆様」

 

 ルシアス達は詳しい話を老人からを聞いくと、数日前に村は魔物達に襲われて自警団の団員が応戦したが自警団員は皆殺しにされ村人の殆どが連れ去られ村に残ったのは年寄りや子供達だけになった事を老人は伝えた。


 ルシアス達は何処に連れ去られたか心当たりははないかと訪ねると老人は地図を持ってきて魔物達は恐らく村の近くにあるという洞窟の場所を指さした。


 その場所に近づきすぎなければいいまで魔物達は襲ってくることはなかったがここ最近は外に魔物が蔓延り村の外には出ないようにしていた事も話した。


 ルシアス達は何故エマール王国の騎士達や兵士達が動かないのかをきいた。


 「今まででなら領主様や騎士達や街の衛兵達が助けに来てくれたでしょう。」


 「理由はわかりませぬがここ半年の間エマール国王は人が変わったかのように振る舞い諸侯や領主達に重税を取り立てるように命令したり一月ほど前から他国との関係を絶つかの様に出入りを禁止して、反対する貴族や諸侯達を次々と処罰しているのです。」


 「王国の王子ニール様はそれに反発して国王反対派の諸侯や騎士、兵士達を集めてここから直ぐ西のブレンダ伯爵と共に国王と対峙する準備進めているという噂があります、小さな村の事など構っている余裕は無いのかもしれませぬ。」


 「事情はわかったわ、魔物多は私達に任せて。」


 「ありがとうございます、皆様よろしくお願いいたします。」


 ルシアス達は家を出ると村を後にして洞窟へと向かっていく、2時間ほど歩くと洞窟が見えた、洞窟の回りに魔物達は見えなかった。


 「回りにはいないようですね。気をつけて中を進みましょう。」


 ルヴェーラの一言にルシアス達は頷いて洞窟の中には入っていった。


 洞窟の狭い道を進み少し広い空間にくると前方にオーガが3体とオークが十体ほどみえた。

 

 「まだ気づいてないですね。私が魔法で一掃します。」


 そう言うとルヴェーラは意識を集中させてファイアーウォールの魔法を唱えると炎の壁がオーガと殆どのオーク達を焼き尽くす、生き残った2体のオークがルシアス達目掛けてくるとアルマとセシルが斬り伏せた。


 オーク達とオーガ達を倒したルシアス達は更に奥へと進んでいくと鉄格子に入れられた人達を見た、ルシアス達が近づきその人達をみるとその人達は全員ゾンビになっていた。


 「そんな、、、、。」


 悲しむマナや怒りに震えるルシアス達の前に黒いローブを着た女が姿を現した。


 「素敵でしょう?私の人形達、貴方たちもそうしてあげる!」


 黒いローブの女はファイアーボールの魔法を唱えるとルシアスが仲間達の前に立って盾を構える、ファイアーボールを盾で受けたルシアスは吹き飛ばされた。


 ルヴェーラは即座に仲間達にウォーターシールドの魔法を唱えるとマナはルシアスの元へと駆け寄った。


 ラルフが黒いローブの女に弓矢を構えると女はウィンドシェルの魔法を使った。

放たれたラルフの矢が女の前で力無く落ちる、アルマとセシルは黒いローブの女に向かっていく、女はアイススピアの魔法をアルマ達に唱えようとする。


 女が魔法を唱える前にルヴェーラはサイレンスの魔法を唱えて女が魔法を使えないようすると魔法を使えなくなった女にアルマとセシルの剣が女を切り裂いた。


 女が絶命するとルヴェーラ達はルシアスの元に駆け寄る。


 「ルシアス!」

 

 ルシアスは全身に火傷を負って意識を失っていたがマナが祈ると火傷が癒やされ手いく、意識を取り戻したルシアスにセシルとルヴェーラが言った。


 「まったく、無茶するわね。」 

  

 「そうですね、しかしルシアスが防いでくれなければ私達が焼かれていたかもしれませんね。」


 ルシアスは立ち上がると村人だったゾンビ達を見るとゾンビ達はルシアス達を見て鉄格子を開けようとしていた。


 「助けられなかった、、、、。」


 「このまま放っておくといずれは鉄格子を破り村人達を襲うかもしれません、皆さん下がってください。」


 「、、、、うん。」


 ルシアス達が鉄格子を離れるとルヴェーラはファイアーウォールの魔法でゾンビ達を焼き払った。


 マナは犠牲になった人々の安寧を思って祈った、そしてルシアス達は報告するために村へと戻っていく。


 「村の人達にどう言えばいいんだろう、、、。」


 アルマの一言に誰も答えらずにルシアス達は村へと戻って行った。

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